第二部は、皇太子・裕仁の6ヶ月に亘るヨーロッパ外遊と
帰国後の大正時代後半の国内世情が中心に描かれます。
大正天皇の体調が芳しくないなかでの皇太子外遊。それは、
まさに国家的プロジェクトともいえる壮大なものでした。
しかし、裕仁にとっては(もしくはその後の昭和天皇と
日本国にとっては)かけがえのない貴重な6ヶ月だったと
感じます。山縣有朋に「石地蔵のよう」と酷評された生真
面目な裕仁が、道中の側近たちとのふれあいや英国皇室との
関わりにより、徐々に人間的な豊かさと奥深さを身につけて
いくさまがよく描かれています。
帰国後は、戦前昭和の暗い20年を暗示させる大正後半の
出来事が頻発。原敬暗殺、関東大震災、虎ノ門事件(裕仁
本人が狙撃される)とテロや災害が相次ぎ、大正の世は
終わりを迎えます。ちなみに、原敬が長命であれば昭和の
歴史は違っていたとする、著者の高い評価は新鮮でした。
それほど優れた政治家とは思っていませんでしたので…
次巻第三部からはいよいよ昭和。裕仁本人と昭和の歴史が
重なり合っていきます。