7つの謎はいずれも第2次世界大戦に関しての事柄である。
著者は昭和史に関する多くの著作がある。その分野でのルポライターとしては第一人者の一人といえる。
本書ではその著者が、資料そして関係者の証言に基づき、時には大胆な推論を用いながらその謎を解き自説を提示して行く。
一編あたり約30ページと短い。よって、謎を構成する事件の内容については深く掘り下げられてはいない。しかし、これが本書の難点にはなっていない。事件を知らない人は、本書をその事件が詳しく書かれた作品を読むきっかけにすればよいし、事件を知っている人は著者の説についてよく考えるにはこのページ数がちょうどよいと思えるからだ。
私は著者と同じく北海道出身であり稚内にも根室にも住んでいたことがある。ソ連国境に最も近い町である。肉眼で北方領土もサハリンもソ連船も見ることができる。私も祖父から「終戦がもう少し遅ければ北海道はソ連に占領されていたに違いない」という話を聞いたこともある。
だから第4話の「東日本社会主義人民共和国は誕生しえたか?」をありえない話ではないと思いながら読んだ。
「謎」に対しては様々な推理がある。一つの資料に対する解釈も一つではない場合もあるだろう。私は著者の「推理」にうなずけることが多くあった。