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昭和史発掘 <新装版> 6 (文春文庫)
 
 

昭和史発掘 <新装版> 6 (文春文庫) [文庫]

松本 清張
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

青年将校らの精神的支柱となっていた「魔王」北一輝。しかし、若い彼らの動きは、最早、北の意図を超えるまでに尖鋭化していた。様々な思いの青年将校たち。「時機尚早」を唱えていた部下思いの安藤大尉はなぜ蹶起に踏み切ったのか。複雑な人間模様。革新への熱と逡巡。刻一刻と緊張感高まる二・二六事件決行前夜を括写する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

松本 清張
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第5回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92(平成4)年8月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 512ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2005/8/3)
  • ISBN-10: 416769705X
  • ISBN-13: 978-4167697051
  • 発売日: 2005/8/3
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By emir1969 VINE™ メンバー
形式:文庫
ゆっくりと読み直してみると、さりげなく挿入された部分が面白い、
例えば「安藤大尉と山口大尉」の章のこんな文章、
「安藤大尉は、部下を愛することは人一倍で、給料のほとんどを部下のためにさいてしまうほどで、部下の彼によせる尊敬と信頼はまことに強いものがあった。」

帝国軍人といえど給与生活者である、上記の引用が正しいのなら給料のほとんどを部下のためにさいたとはいったいどういうことなのだろう? 家に給与を入れなかったということか? それなら家族はどのようにして日々の暮らしをまかなっていたのか?
となれば何らかのパトロンの存在が疑われる、それは誰か? 北か、真崎か、それともまさかとは思うが秩父宮か? この点を追求した本はあるのか?と考えればきりがない、

こんな文章もある、
「運動に忙しい栗原は、初年兵教育を助教の下士官に任せるときが多かったが、練兵場などの教練では、タクシーでかけつけ、饅頭をどっさりもってきた昭和維新などの話をした。」
これではまるで労働組合活動に忙しい組合員の課長代理が本業をさぼって係長に丸投げし、自分の都合のいいときにだけ現れて労働組合の宣伝だけをしているようなものだろうに、
先の例もそうだか、決起将校たちが金と食い物で初年兵たちを体よく手なずけていった光景が目に浮かぶ、

同じ章の中に真崎甚三郎判決が引用されている、曰く、
「同年1月、磯部が真崎を自宅に訪ね、教育総監更迭問題についてあくまで努力する旨を述べ、金千円または五百円の出資を請ふや都合する旨を答え、、、」
確かに活動資金を都合したパトロンが複数存在したと断定できるでしょう、パトロンにしても全額を自分の懐からだしたかどうか? これも考えればきりがない、

以上、旧版を再読しての感想なのでページ数は省略しています、
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 浦辺 登 VINE™ メンバー
形式:文庫
 この一冊は二・二六事件の発生前を三章に分け、松本清張の視点で解説が加えられている。
・北、西田と青年将校運動
・安藤大尉と山口大尉
・二月二十五日夜
 主観を交えずにこの軍事クーデターを読み解いて欲しいという著者の目論見かもしれないが、清張の意見を強調しても良かったと思う。裁判資料の羅列で、読み進むのに苦労する。昔は文章にカタカナが混じる上に軍人特有の言い回しに慣れず苦労する。
 二・二六事件という軍事クーデターが発生するにあたり、政府も軍部も油断があった。とりわけ、陸軍などは官僚組織という身内に甘い体質になっており、現代日本の官僚組織体質とさほど変化はない。そこに武力という支配をちらつかせる軍人は始末に負えない。身内体質の甘さは憲兵隊すらも皇道派が押さえていたということになる。これでは、青年将校が決起が事前に分かっていても、事前承認しているようなもの。日本の軍隊は兵と下士官で維持されているというが、憲兵隊においてもそうであった。

 この一冊を読んでいて、清張は右翼組織の発生要因について知らないのではないかという疑念がわいた。玄洋社、黒龍会の名前が登場するが、政府とは独立した政治行動をとっているのだが、松本清張の意識のなかでは政府の手先として動きまわったという認識になっている。
 玄洋社の頭山満は明治期の政治大干渉事件においては薩長政府の品川弥次郎に協力しているが、長州閥の権力者である山縣有朋が「俺のところに挨拶に来ないのは頭山満と犬養毅だけだ」と言わせしむるほどであり、清張が言うような密接な関係は誤認と考える。清張の情報ソースは左翼と言われているが、それを鵜呑みしたとしか思えない。
 昭和史といいながら、幕末、明治の権力闘争が二・二六事件にまで連なっているのを認識できる一冊でした。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By itv
形式:文庫
10台のころに昭和史発掘全巻読んだときに得た印象と今読み返したときに得た印象はさして変わらない。週刊誌に連載していたこともあり、読者の劣情に訴える著者の感想は殆ど読むに耐えない。しかし昭和史のトピックは要所要所で押さえられており、さまざまな事件の概観を得るのについつい利用してしまう。それだけの価値はあるということだ。

第6巻では、「天皇機関説」のことを読み返した。法人の実在性に関する議論を学んでいる最中に議論の類似性に気づいたこともあり・・・。戦前の言論の自由の方向性をある意味で規定した議論である。意外だったのはこの議論がすでに明治において「決着」がついていたこと。あくまでもアカデミズムの世界の中でだが。

じつに感慨深い。アカデミズムの中で決着がついた議論であっても、政治的にひっくり返され、そして利用される―政治利用を図るものも実際には機関説に依拠しているにもかかわらず。

これは遠い昔の話では、ないのだ。

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