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最近の松本清張リバイバル・ブームでめでたく復刊、大きな文字で読みやすくなりました、清張のもう一つの代表作「日本の黒い霧」に比べて、充分以上の資料を駆使しており、文章自体も充実した作品です、(日本の黒い霧は資料不足が第一の原因と思うのだが同じ内容の反復描写が多く、文体も少々荒れた感じがする)
取り上げられている事件の殆どは直接には左翼関係ではないにもかかわらず、大正から昭和前期にかけての「左翼運動」の広がりに当時の政治的人間たちの多くががどれほどの脅威を感じたかが分かります(特に2・26以前の各章の描写において)、ちなみに松本清張は共闘とか連帯などといった左翼的価値観を一切もちあわせていない作家である、同じく昭和の大作家である司馬遼太郎がことあるごとに左翼的体質を露呈していたことと好対照の人物、
現在でも日本人の心の在り様の基本のひとつである「狭隘で僻み・妬みに満ち満ちた価値観」はちょっとしたきっかけさえあれば容易に階級打破・平等社会の実現という社会主義思想に取り込まれてしまう危険があることに本書で描かれた多くの人物達が脅威と恐怖さえ覚えながら行動していたこともわかります、
20世紀最大の負け犬でもある社会主義がその後、政権を取った自国でどれほどの悪逆を行ったかを冷静に観察できる現在から見れば、本書で描かれた彼ら政治的人間たちの政治的感性の鋭敏さのようなものには一種の感嘆を感じざるをえないし、2・26事件を即座に「反乱である、鎮圧せよ」と断を下した昭和天皇の優秀さにも感服できます、そんな英邁な昭和天皇の治世でさえ大戦争に巻きこまれざるを得なかった昭和10年代について是非とも松本清張の筆で描いて欲しかったとも思います、
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