「週刊文春」に擬して、戦前発刊されていた軽めの月刊誌『話』誌を再構成した一冊です。
戦前の古書など一次史料に親しんでいる人の目からすれば、ごくごく当たり前の内容でしょうが、戦後編纂された歴史書ばかり見ていた人からは、「目からウロコ」だったと思います。
北支事変勃発当時の民心が意外と冷静(というか、現代とほとんど変わらない印象)だったこと、
「米内光政」「松岡洋右」「松井石根」「原節子」といったその後の歴史に名を残した人物の同時代評的な興味、
通州虐殺、動乱の上海、顔が「しなびて真黒」になった孫文のミイラ見聞記などの生々しい話……。
戦乱と平時が奇妙に同居した昭和12年当時の空気を見事に再現している気がしました。
巻末には『話』誌の全目次が掲載されていますが、昭和12年にして「支那共産軍の大立物」毛沢東を特集していることなど、まだまだ読みたい記事がいっぱいあります。宝の山。
個人的には、原典である『話』誌の代表的な号を復刻してほしい。それが出版社へのお願いです。