タイトル通り、幼年期から青春時代までの回想。
そして青春のとなりあわせにあった戦争について語ったエッセイ集です。
第一部は少年時代と故郷について。
両親の死という喪失をあじわった故郷。ノスタルジーを守り抜きたいと頑なに帰郷を拒み、でも何かの弾みで何度も故郷を思い出す姿には、哀切さを感じさせます。
第二部は不戦日記から数十年を経て、透徹した目線でみつめた戦争観です。
戦争で塗りつぶされた青春に皮肉な目を向けつつも、そこに虚しさだけではなく変わらない日本の本質を見出し、昭和前期は黒船来港につながり、後期は別物になったと分析します。冷静な観察の裏に秘められた思いの深さが、時折行間から顔をだしはっとさせられます。
第三部は1945年5月、ヒトラーが死に、ドイツが負け、東京が焼き尽くされ、沖縄が地獄と化した運命の一ヶ月を追ったドキュメントです。
『同日同刻』に連なる重厚な分析で、いままで未収録であったのが信じられないほどの出来。
それぞれの部でかなり味わいが違いますが、それぞれ興味深く読めるエッセイです。