オレが世界でいちばん好きなGS・スパイダースの主演映画の“お約束”として、彼らが演奏をはじめると、気難しそうな老婆―のコスプレをした男性―が出てきて「あー、やかましい! 揃いもそろって、どんな教育を受けたもんだか。まったく、親の顔が見たいョ!」などとボヤく、というのがあったが(実はその男性こそ、スパイダースのメンバーだったマチャアキのお父さん…という楽屋オチ。それも含めての“お約束”なのだ)、このアルバムには、当時ヒットした曲も、カラオケに入っている曲もほとんどないかわりに、ジンジンうなるファズ・ギター、狂おしいまでの金切り声……といった、まさにその《やかましい音》がめいっぱい詰まっており、ヒット曲からは伝わりにくい、GSという音楽のもつリアルな手ざわりを感じとることができるだろう。
クレイジーケンバンドもカバーした「メラ・メラ」をはじめとするスパイダースのナンバーを4曲収めたほか、当時フィリップスとテイチクからリリースされたバンドの人気曲を中心とした、全25曲。中でも、これは何度でも書かせていただくが、アウト・キャストの「のっぽのサリー」。これの衝撃的なまでの突き抜けっぷりは、もうとんでもなくスゴい。爽快感を通り越し、聴くだけで瞬間的に解脱しちゃいそうな、摩訶不思議な感覚が味わえることうけあいである(かつて彼らの音源は音質がいまいちだったが、ここではかなり改善されている)。
『
GSフォーエヴァー100』『
GSグレイテスト・ヒッツ』など、GSのコンピレーションは数多く出ているが、あえてこの1枚から聴いてみる、というのも、十分にアリだと思う。
ジャケ写撮影は立木義浩氏(1970年の作品より)、選曲・監修・解説はサミー前田氏。
歌詞掲載なし。