今に残る銘仙の着物の美しさ、鮮やかさにため息をつく
ことはできるけれど、その着物たちがどんな情景で
着られていたかは、とても凡人には想像ができない。
銘仙があでやかな分、悔しいような哀しいような…
そんなジレンマをふっと飛ばし、大正ロマン&昭和モダンの
世界に旅させてくれるのがこの本だ。
写真が精密でなかった分、画家が筆で着物のあでやかさを
残してくれた、それがまた雰囲気があってよいのだ。
この風情こそ、着物の楽しみ方に必要なのだろうか
当時の着こなしを「学ぶ」というより「味わう」1冊。
写真でとった実物の着物と帯をた~っと並べた本が多い中、
異色ではあるが、私はこんな本が欲しかったのだと
しみじみ嬉しく眺めている。