『詳述している余裕』がなく、『割愛』されたエピソードが多いので、ずいぶん思わせぶりだなぁと思っていたが、あとがきに編集サイドから字数制限が課せられていたことが記載されている。何度も割愛に関するエクスキューズをした上で、わざわざ後書きで字数制限を吐露するあたり、相当、頭に来たんだろうな。
それでも、3連敗4連勝の記述はお見事。新聞記者らしくディテールにこだわっており、50年前の話なのに臨場感がある。やっぱりこういう文章はその時間にいた人しか書けない。もっとも、どうせ、字数制限があるなら、逆手にとって3連敗4連勝の7試合だけにスポットを当てて、これでもかってくらいマニアックな記述をして欲しかった気もする。
いずれにせよ、筆者はご高齢なので、こうした話を字数制限なしでたくさん書いてもらいたいものだ。
なお、この本は日経スポーツ欄の『チェンジアップ』で豊田泰光が推薦していた。豊田氏の文章の巧みさはスポーツ選手、元スポーツ選手の中で突出していると思うのだが、豊田氏の文才は、ご本人の人生経験もさることながら、こういう新聞記者との付き合いで磨かれたのかもしれない。