正に思い出のアルバムです。
40代後半以上で、昭和40年以前を覚えている世代にとっては懐かしい風景が連続します。
特に奈良県のほとんど、京都滋賀南部、大阪の郊外、和歌山の紀ノ川流域、三重の伊賀地方など、近畿中央部に属する地域の方は子供の頃見慣れた景色ばかりだと思います。(感涙(T_T)
この写真集はいわゆる芸術系ではなく、入江にして初めての「風俗写真集」と思われます。
市井の市民の日常をスナップした写真は個々に発表されていたものの、それだけで一冊にまとめられたものは多分初めてだと思われます。
ほとんどすべての写真に人物が写っており、景色だけでなく当時の風俗も偲ばれます。
思いの外茅葺きの家が多く写っていることにも驚きますが、この後わずか10年足らずのうちに全滅してしまったのですね。
地道(未舗装の道)の多さにも気付かれると思います。
車が対向可能な道以外はほとんど地道で子供らが遊んでいる風景があります。
これらが一変してしまいました。
昭和40年をはさむ10年間ほど市街地,農村の景色が激変した時代はないでしょう。
わずか40数年前までこのようなのどかな風景が奈良市中心部でも見られたんです。
風俗的な資料的価値も高く懐かしさに浸る以上の価値のある本です。
本は大キャビネサイズで240ページもあり見応えあります。
推薦します。
追伸 : 添付した写真は、本の鑑にある"牛を引いている農夫が「みぎかすがみち(右春日道)」の道標(石碑)前を通っている写真"の今です。
周囲は家が建て込んでいてご覧の通り交差点もガレージになっています。
この道標は奈良市写真美術館から500mほどの近所にあります。
近くに行かれた折は探してみるのも一興でしょう。