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昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫
 
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昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫 [単行本]

笠原 和夫 , スガ 秀実 , 荒井 晴彦
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫 + 「仁義なき戦い」調査・取材録集成
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

膨大な取材、激烈な作劇で斬り込む昭和の闇と刺し違えた日本最大の脚本家。

内容(「MARC」データベースより)

ヤクザ映画ファン必読! 「仁義なき戦い」などを手掛けた脚本家・笠原和夫の世界を解き明かす! 綿密なインタビューによって明かされたエピソードが満載。笠原作品から日本映画、東映映画の歴史を追う。

登録情報

  • 単行本: 605ページ
  • 出版社: 太田出版 (2002/10)
  • ISBN-10: 487233695X
  • ISBN-13: 978-4872336955
  • 発売日: 2002/10
  • 商品の寸法: 21.2 x 14.6 x 4.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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31 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
全600ページ、膨大な資料(全フィルモグラフィと、シナリオの抜粋など)と特に登場人物に関しての詳しい注釈がついていて、これだけで昭和史(特に昭和初頭から戦後60年代頃まで)のかなりの部分が見えてくる。主に笠原氏と荒井晴彦、絓秀実両氏による対談形式であるため、非常に読みやすくなっている。

笠原和夫氏は、東映で美空ひばり映画から始まり、藤純子モノなどの仁侠映画、「仁義なき戦い」などの実録路線、「大日本帝国」「二百三高地」などの戦争映画を経て、日本映画界の衰退に伴い「愛・旅立ち」というマッチ明菜競演のトンデモ映画とかの脚本までも書いた人。彼は軍国少年で海軍入りするものの戦争に行くことはなかったのだが、テロリズムと昭和天皇が終生のテーマだった。226事件!の!!生き残り、日本共産党員、右翼、政治家、「仁義なき戦い」のモデルとなった広島の極道たちなど膨大な人数の人たちに綿密な取材をして、リアリズムを追求した作品を書きつつも、会社や監督たちと徹底的に戦ってきた。このあたりは、読んでいる者の魂をもたぎらせるほどの凄絶な戦いで、彼はストレスのあまり胃を失い苦しみながらも、傑作を数多く世に送り出した。

226事件の将校たちに強い共感を覚えたり、日本を勝ち目のない戦争に追いやったエリート将校たちや、戦争責任を果たそうとしなかった昭和天皇に対して忸怩たる思いを抱いたり、映画会社の人たちの無責任さに悔し涙を飲んだり、口調はあくまでも穏やかでありながら、こんなにも凄まじくアナーキーな情熱を映画に注ぎ込んだ男がいたとは。

偶然にも、!!!この本を読んでいる最中に、昭和2年に生まれた笠原和夫氏の訃報を聞くことになった。まさに、昭和という時代への鎮魂歌となっている。

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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この本は戦争と天皇についてよくわかる。一気に引き込まれて2日で読み終わった。視野がすごく広がったと思う。リアリティについてこんなにこだわってるプロ根性に脱帽。とことん語り合うとはこの本のことだ。世界が広がった。良かった。読むことで貴重な体験をした。おススメです。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By itv
 上は天皇、下はヤクザ。右は血盟団、そして左は共産党。本書は、東映実録路線で一時代を築いた稀代の脚本家・笠原和夫がそのデビューから筆を折るまで、書き上げた全作品に関する証言録である。全篇600頁。そこには、白塗り時代劇の時代からヤクザ映画の黎明、「仁義なき」東映実録路線の興亡、そして邦画界の衰退まで立ち会った者としての記憶が込められている。
 笠原脚本に通底するものは「不能者としての暴力性」である。着流しのヤクザが女のすがりつく手を振り払って殴りこみに行くのは、「できないからですよ」と笠原は言う。天皇制の中で抑えつけられた者が、暴発する-日本人の男の暴力性の根底には不能者としての劣等感があるという訳だ。加えて、帝国海軍二等兵曹としての戦争体験。国の為に死ぬ事を覚悟したのに、戦争に行き遅れた者としての<心情>-それが暴力へと向かう潮目を笠原は描く。思想史家・小熊英二が言うように、<心情>とは「思想では表現困難な残余の部分」であるとすれば、笠原の脚本群は戦争体験を持つ日本人の男の<心情>の歴史に他ならない。
 脚本家とは作戦参謀なり、との持論を笠原は本書で語る。映画制作を組織戦闘と捉え、指揮官である監督の資質に合わせた作戦を参謀は練る。ロケハンや緻密な取材を通して(その一端は本書の口絵で窺い知れる)点描画のように書き込まれた笠原の作戦書=脚本は、当然のことながら指揮官を選ぶ。重すぎて監督が耐えられないもの-それが笠原の言う<劇>なのだ。この重みに耐えられた監督こそが、「仁義なき戦い」という大傑作を撮ることになる。
 そしてこの組織戦闘が機能しなくなる時、邦画の衰退は始まる。
 最後に、同じ脚本家として邦画界への憤りを共有する荒井晴彦と、脇を固める文芸評論家のスガ秀実が繰り出す質問の的確さ、そして丁寧な脚注の存在が、本書の読み易さを確かなものにしていることを特筆しておきたい。
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