「これから30分、あなたの目はあなたの身体を離れ、この不思議な時間の中に入っていくのです」――(円谷プロ『ウルトラQ』より)
あの空想特撮シリーズの名作がコミックで読める。万城目淳や江戸川由利子の手に汗握る活躍を見逃すな。
白黒テレビの普及率が9割を越えた昭和41年――。1月に放映開始したTBSの『ウルトラQ』は瞬く間に視聴率30%台の人気番組になった。それまで春休みや夏休みの映画館でしか見られなかった〈円谷〉の怪獣に毎週タダで遇えるのだ。子供たちが日曜夜7時を一日千秋の思いで待ちわびたのも当然である。時代の先読みに敏感な出版界で、もっとも早く『ウルトラQ』の可能性に着目したのは講談社。テレビ放映の10カ月前から月刊誌「ぼくら」で絵物語の連載をスタートさせている。続いて一番槍こそライバルに譲ったものの、集英社の少年ブックが一年後の春休み増刊号で初のコミカライズに挑戦。第一弾「鳥を見た」の作画を担当したのは、後に一連の格闘技漫画で時代を築いた中城健太郎である。同誌のコミカライズ路線は読者の圧倒的支持を集め、中城健太郎は当時コミックスと呼ばれた大判単行本でも描き下ろしを発表。その手による全10話はページの制約が少ない長編が多く、テレビの脚本に沿ったコミカライズのお手本と言っていい作品に仕上がっている。
昭和13年、高知県生まれ。手塚治虫、関谷ひさしのアシスタントを経て、「冒険王」 (秋田書店)に掲載の『ロボット狂時代』で漫画家デビュー。別ペンネームに、 中城健、中城けん、中城建雄がある。代表作は、『ウルトラQ』『キックの鬼』 『ボディガード牙』『紅の挑戦者』『カラテ地獄変』シリーズ、『四角いジャングル』 『劇画教祖物語』など多数。
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