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昨日 (ハヤカワepi文庫)
 
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昨日 (ハヤカワepi文庫) [文庫]

アゴタ クリストフ , Agota Kristof , 堀 茂樹
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

村の娼婦だった母の子として生まれたトビアス。ある事件を契機に名前を変え、戦争孤児を装って国境を越えた彼は、異邦にて工場労働者となる。灰色の作業着を身につけ、来る日も来る日も単調な作業に明け暮れるトビアスのみじめな人生に残された最後の希望は、彼の夢想のなかにだけ存在する女リーヌと出会うこと…。傑作『悪童日記』三部作の著者が、みずからの亡命体験をもとに幻想と不条理を交えて綴る不可能な愛の物語。

内容(「MARC」データベースより)

異邦にありて、ひたすら私は書く、不可能な愛の物語を。「悪童日記」三部作とはまた違った独自のスタイルで、自らの亡命体験をもとに描いた長編。パリでも2か月前に上梓されたばかりの作品。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 165ページ
  • 出版社: 早川書房 (2006/05)
  • ISBN-10: 4151200355
  • ISBN-13: 978-4151200359
  • 発売日: 2006/05
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 44,912位 (本のベストセラーを見る)
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22 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「悪童日記」三部作のあとに読みました。
余韻に浸っている…と書きたいところですが
余韻すら拒否されて、突き放されてしまったような
不思議な読後感です。途方にくれた、という言葉が
ぴったりくるような作品です。

翻訳者の堀茂樹氏がアゴタ・クリストフのことを
あとがきで「オプセッショネルな」

(単一の思念に取り憑かれてひたすらそれを追求しているタイプの)
小説家である、と書いていますが、まさにその通りだと
思いました。舞台も設定も違うのに、この「昨日」という
作品から受ける印象は「悪童日記」に似ています。それゆえに
彼女が抱えているテーマの深さ、大きさ、その悲しみに改めて
震撼とします。

巻末にアゴタ・クリストフの来日記念講演が収録されていて
ち?れが本編と同じく深い内容です。
タイトルは「母語と敵語」。21歳でハンガリーから亡命し
フランス語を話さざるをえない人生を歩みだした彼女が
「敵語」(フランス語)で文章を書き始めるまでの苦労
(なんていう生易しいものではないと推測します)を非常に端的に
語っています。

彼女やナボコフが書き綴る「亡命文学」というジャンルの文学の
奥の深さを考えさせる、すばらしい講演です。

またほかのアゴタ・クリストフ作品でもすでに読者によって

言われていることですが、
堀茂樹氏の訳は素敵です。昔、サリンジャーの
「ライ麦畑」の世界を野崎孝氏の訳が体現し、読者の心を
奪ったことを思い出します。堀茂樹氏の選ぶ言葉は私たちに
アゴタ・クリストフそのものを届け、響かせてく??ます。
この訳でなければ、表現できない世界だと思います。

このレビューは参考になりましたか?
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
レクイエム 2007/6/8
By Justin
形式:文庫
アゴタ・クリストフの著作の日本語訳を当初から手がけてこられた堀 茂樹氏によれば

本作は双子三部作(『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』)の続編にあたると言える

作品とのこと。(公式発表はされていない)

ストーリーそのものや登場人物はリンクしていないが、なるほど、そのエッセンスには

通底するものがある。

いっさいの感情表現を廃した三部作に比べ心理描写が多くみられること、作者がかつて

実際に作った詩を改編して作中に取り入れていることなどから、作者自身を投影した部分が

かなり見られる。

そして、三部作は終始、冷徹なる傍観者の視線で貫かれていたのに対し、

本作では初めて希望のようなものを感じ取ることができた。

それすらも主人公にとっては、諦めの上に築かれた偽りの希望なのかもしれないが、

読む者にとってはある種の安らぎとなるのではないだろうか。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 4629nks
形式:単行本
これまで同様に亡命者を主人公としてはいますが、普遍的な人間の孤独が描ききられており、およそ他人事ではない、たいへんな物語です。

孤独の理由は主人公のようにドラマティックではないにしろ、現代の日本に暮らす私たちのなかにもこんな虚無感や絶望感を抱え、うんざりするほど長い残りの人生を前に途方に暮れている人は少なくないと思います。

そんな苦しみや現実を徹底した客観的筆致で描き、また一方では彼の精神世界を美しい詩のような散文で表現する。クリストフは誰もが感じる孤独というものを、彼女にしかできない方法で、眼を背けられないひとつの形に作り上げたと思います。

果てしない絶望と孤独が続くにしても、人間はとにかく生きなければならない、自分の人生を生きなければならない...と強く訴えているようでした。

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