プリズンホテルは1〜3を読み終えた後、面白過ぎて読んでしまうのが勿体無い気持ちすら芽生えてこの「春」(4)に進むことができず、しばらく積ん読状態にあった。
意を決して手に取ると、案の定一晩で完読した。
内容は、孝之介が文壇最高の権威である日本文芸大賞の候補になり、珍客揃いの温泉宿を舞台にそこから多くの人間模様が繰り広げられるもので、育ての母である富江への本当の気持ちが巧く表現されており感動した。
中でも、特に良かったのは52年間の懲役を務め上げ、娑婆に戻った小俣オジの男気感じる台詞であった。
「男はやさしいだけじゃいけねえ。強くって、やさしくって、辛抱のきくてえのが、本物の男なんだぜ。おめえははまだ若え。しっかり性根を据えて、本物の男になれ。そうすりゃ、銭なんざ、勝手に後からついてくる」などという台詞をくすぶっている経営者に投げかけ、励ましているシーンは何度も読み返した。浅田次郎の小説ではこうした昔気質のヤクザが粋な台詞をはく部分が特に好きである。
このシリーズ1〜4は絶対の自信を持ってお薦めできます。