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春燈 (新潮文庫)
 
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春燈 (新潮文庫) [文庫]

宮尾 登美子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

土佐の高知で芸妓娼妓紹介業を営む家に生まれ育ち、複雑な家庭事情のもと、多感な少女期を送る綾子。育ての母喜和と、実父岩伍の離縁という破局の中にあって、若くみずみずしい心は激しく葛藤し、やがて束の間の淡い青春を迎える…。両親の側から生家の事情を克明に描いた名作『櫂』と、戦時下の満州での苦難の結婚生活に焦点を当てた『朱夏』を架橋する、著者渾身の自伝小説。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

宮尾 登美子
1926(大正15)年、高知市生れ。17歳で結婚、夫と共に満州へ渡り、敗戦。九死に一生の辛苦を経て’46(昭和21)年帰郷。県社会福祉協議会に勤めながら執筆した’62年の「連」で女流新人賞。上京後、九年余を費し’72年に上梓した「櫂」が太宰治賞、’78年の『一絃の琴』により直木賞受賞。他の作品に『序の舞』(’82年刊、吉川英治文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 643ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1991/03)
  • ISBN-10: 4101293058
  • ISBN-13: 978-4101293059
  • 発売日: 1991/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Doll
形式:文庫
宮尾登美子の『綾子』物語は多数あるけれど、まずはこの作品から読むことを
おすすめしたいです。綾子満6歳から、高女を出て臨時教員になり未来の夫に
出会うまでを書いています。それでも読むことを続けてしまう文章力があり、
まずこの作品を読んで、母・喜和の『櫂』を。綾子苦難の『朱夏』、
帰国後を描いた『仁淀川』、そして父・岩五の『覚書き』と読んでいくと
だんだん綾子を好きになっていく自分がいました。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
奔放な綾子は 2009/2/21
形式:文庫
太宰治賞の出世作「櫂」と、満洲で敗戦となり引揚げまでを描いた「朱夏」をつなぐのが「春燈」だ。物語の順番としては「櫂」→「春燈」→「朱夏」だが、発表は櫂1973年。朱夏1980年。春燈1988年となり、一連の作品の最後の作「仁淀川」は1998年で、「櫂」から25年の歳月をかけた自伝大河小説となる。

「春燈」は「櫂」で母親喜和と引き離され、父岩伍の許で暮らすようになった綾子の代用教員になるまでが書かれている。奔放で向こう見ずで我儘だが、明るく聡明繊細つつましい面も備えている綾子が、複雑な家庭より女学校に入っても伸び伸びとしている所が楽しい。

正月などの細かくわずらわしいしきたりなど、だんだん薄れて簡略化されてゆき、うるさくいかめしい岩伍も往時のような激しさが無くなってはいるが、うっとうしい父の許から逃れたいばかりに代用教員の道を選ぶ。緊迫する戦局のため人手不足でなければ、無資格の綾子など採用されなかっただろう。

親友規子により音楽や文学に目覚めたが規子は早世。その後代用教員として生家近くの学校に赴任、規子の墓に詣でる。美しい山村の景色が目に浮かび、自然描写と人の心が溶け合うような最後で、作者の文章には何時も上手いなあと思った。
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:文庫
親の使用人は自分の使用人と思い、一緒に生活をしていながらも見下す態度で自分の存在を高く見せている事に意地になっている事に気が着かない少女時代の主人公。

主人公が親の恩恵を受けたが故にまわりの人間チヤホヤさてれいたか気がつき羞恥心に苛まれる記述が最後までない事に少々疑問を感じていた。しかし「あとがき」を読み、この自伝的小説を出すにあたり、いかに作者が恐怖心を決意でかき消しながら出版にこぎ着けた事が分かり安堵感を感じた。

親の使用人を自分の使用人と思い、わがまま放題に彼等と接する過去を持ち、そして人のもとで働くようになった今、「彼等にとって、なんと言う憎たらしい子供だったろう?」と過去を振り返りなんとも言えない羞恥心を抱いてしまう。それは、私も作者と似たような境遇で育ったから。消せない過去にあらためて心痛めながら読破した。

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