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春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫)
 
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春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫) [文庫]

岡 潔
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

数学は論理的な学問である、と私たちは感じている。然るに、著者は、大切なのは情緒であると言う。人の中心は情緒だから、それを健全に育てなければ数学もわからないのだ、と。さらに、情操を深めるために、人の成熟は遅ければ遅いほどよい、とも。幼児からの受験勉強、学級崩壊など昨今の教育問題にも本質的に応える普遍性。大数学者の人間論、待望の復刊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

岡 潔
1901年、大阪市生まれ。京都帝国大学卒業。その後フランスに留学し、生涯の研究課題となる「多変数解析函数論」に出会う。後年、その分野における難題「三大問題」に解決を与えた。’49年、奈良女子大学教授に就任。’60年、文化勲章受章。’63年に毎日出版文化賞を受賞した「春宵十話」をはじめ、多くの随筆を著した。’78年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 225ページ
  • 出版社: 光文社 (2006/10/12)
  • ISBN-10: 4334741460
  • ISBN-13: 978-4334741464
  • 発売日: 2006/10/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
高校の現代国語だったか、通信添削のZ会の国語だったかに出ていた大数学者 岡潔先生が書かれた有名な文章;「私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えて来た。」・・・これが読みたくて岡先生の「春宵十話」を買ったが、当時の私の人生経験ではこの本の深いところを理解できるだけの力がなかったと思う。その時には読めていたつもりだったのだろうけど。

この本が復刻されたことを知り、早速買い求めた。28年前に読んだ文章を覚えているはずはなく、ただ上記のスミレの件は読んですぐ思い出した。

今回、私も45才になって、確かに28年前と比べると読めるようになったが、それでもこの本というか、岡先生の心眼はあまりに透徹しているため、十分に読みとれた自信がない。この本を十二分に読み尽くすには10年早いのだろう。

岡先生は情緒を育てることの大切さを繰り返しおっしゃっている。そしてこの本自体が情緒溢れている。そもそも題名からしていい。春の宵のなんともいえぬすがすがしさを感じさせる題名。

一つのことに突出して秀でた人は人間の大きさが違うと思った。
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
アンリ・ポアンカレの「数学の本体は調和の精神である」という思考をふまえて、数学の目標は真の中の調和であり、芸術の目標は美の中における調和である、と。こうした岡潔の「どちらも調和という形で認められ、そこに働いているのが情緒である」とする考察はじめ、新しい視点と数学の本質にせまる考え方が随所にもりこまれた、近代日本の誇り得る名著といってもいい書です。

私のように美術・絵画を専門職とするかたわら、数学を学び続け、研究もしている人間にとって、このような考察は仕事上の体験そのものであり、正にその言葉が欲しかった、といえる共感ににも似た、深い感動をいただいた一冊でした。

年月を経て、何度もくりかえし読める本というはそう多くはないわけですが、岡さんの著書は不思議と何度となく読まなければならない、という思いになります。数学の思考を情緒とすることは、きわめて独創性に富み、日本人でなければ気がつかない、ユニークな発想がそこにはあるようです。

教育は渋柿に甘柿を接木するようなもの。その成長は遅ければ遅いほど良い、とする根拠も、実に数学者らしい考察の結果であり、納得がいきます。教育者として社会にかかわる人にとっても、そうした大切な視点をいくつも与えてもらうことができ、多用な人生の価値基準を俯瞰させてもらえる、すぐれた啓蒙書でもある、といえましょう。
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By bias トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
まず、何といってもお名前がいい。
簡潔で虚飾なく、孤高で端正で毅然としている。

そして「春宵」と「十話」という組み合わせ。
いかにも昭和の時代の気分で、未知の読者にはそっけないかも知れないが、
開けば、まず読み切ってしまうことうけあい。
曰く、
「日本語は物を詳細に述べようとすると不便だが、簡潔にいい切ろうとすると、
世界でこれほどいいことばはない。簡潔ということは、水の流れるような勢いを
持っているということだ」
――まさしく、岡自身の文章について述べたよう。

光の本質の分析を文学に応用して、「波動型」か「粒子型」かと論ずるところなど、
寺田寅彦を彷彿とさせる(だが岡の好みは寅彦より漱石より、断然芥川というのも面白い)。
また、現代においても“理系のエライ先生なのに古典や芸術の素養がある”という人は
少なくないが、岡のばあい、古典や芸術は、「素養」ではなく、「覚悟」。
つまり、身を飾るための手段ではなく、生き方そのもの、ということがビンビン伝わる。
そこが、この本のすごさ。

だからこそ、自分の専門である数学についても矜持をもって、かく言う――
「語学と一致している面だけなら数学など必要ではない。それから先が問題なのだ。
人間性の本質に根ざしておればこそ、六千年も滅びないできたのだと知ってほしい」

さらに、我々を震撼させるのは、次のような言葉――。
「数学と物理は似ていると思っている人があるが、とんでもない話だ。
職業にたとえれば数学に最も近いのは百姓だといえる。種をまいて育てるのが仕事で、
そのオリジナリティーは『ないもの』から『あるもの』を作ることにある。
……これにくらべて理論物理学者はむしろ指物師に似ている。人の作った材料を
組み立てるのが仕事で、そのオリジナリティーは加工にある。
……わずか三十年たらずで一九四五年には原爆を完成して広島に落とした。
こんな手荒な仕事は指物師だからできたことで、とても百姓にできることではない。」

噛みしめ続けたい言葉が、ふんだんに詰まっているが、一つだけ挙げれば――、
「私は数学専攻に踏み切るのには臆病だったが、外国の文化を恐ろしいと
思ったことはなかった。この点、一般の日本人は逆で、数学というものには
恐れを知らなさすぎるくせに、外国文化を恐れすぎる」

絶対に切らして欲しくない本のひとつ。
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