高校の現代国語だったか、通信添削のZ会の国語だったかに出ていた大数学者 岡潔先生が書かれた有名な文章;「私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えて来た。」・・・これが読みたくて岡先生の「春宵十話」を買ったが、当時の私の人生経験ではこの本の深いところを理解できるだけの力がなかったと思う。その時には読めていたつもりだったのだろうけど。
この本が復刻されたことを知り、早速買い求めた。28年前に読んだ文章を覚えているはずはなく、ただ上記のスミレの件は読んですぐ思い出した。
今回、私も45才になって、確かに28年前と比べると読めるようになったが、それでもこの本というか、岡先生の心眼はあまりに透徹しているため、十分に読みとれた自信がない。この本を十二分に読み尽くすには10年早いのだろう。
岡先生は情緒を育てることの大切さを繰り返しおっしゃっている。そしてこの本自体が情緒溢れている。そもそも題名からしていい。春の宵のなんともいえぬすがすがしさを感じさせる題名。
一つのことに突出して秀でた人は人間の大きさが違うと思った。