キムギドク監督作品なので、見る前が気が重かったのですが、随分アート的な作品に仕上がっていました。アメリカで少し話題になったと聞いていましたが、確かに同じアジア圏より他の方がご覧になった方が情緒を感じられると思います。
日本人の私が見ても、これは日本を感じる部分もあれば、中国に近い感覚をも持っている、そしてアリランを流すあたりが韓国的であり、後半は韓国感情「恨(ハン)」を描くものでもある、どこか無国籍感覚があるといえるからです。アジア的仏教感というか、自然崇拝が全面に押し出されているというか。韓国の映画というより、アジアの映画といったイメージです。韓国映画は良くも悪くも激しい映画が多いのですが、これは全く違ったタイプです。
題名の通り、四季を通じて一人の少年が成長していく姿を描いています。山岳地の風景美が素晴らしく、目をうばわれます。少年と恋に落ちる少女役は、細い子供のような体型で、でも魅力的な女性で、他の作品でも登場したキムギドク監督が好きなタイプだなあと思いました。
私が特に印象深く感じた場面は、秋の章。罪を犯した青年がまた庵に戻ってくるところ。多くを語らず、老僧は怒りを静めさせるため、床に字を彫らせる場面。逮捕にきた刑事もそれを見守り、手助けし、無心で彫り続ける青年。静の中に動を感じる緊張感ある映像でした。
全編静かな作品です。しかし、老僧が語りかける数少ない台詞が胸にしみわたります。俗世にある欲と執着・・・。そして罪悪感と戦いつつ同じ事を繰り返す人間の愚かさ。映画としては、かなり見ごたえがあります。スピードばかりを重視する今の社会に対して、そっと語りかける作品だと思います。無理に対ハリウッド意識の高い映画より、この作品のように独創性のあるものの方がいいなあと感じました。