著者の山岳小説は、『還るべき場所』、『未踏峰』などがあり、『還るべき場所』は圧倒的な迫力の山岳小説、『未踏峰』はヒマラヤ登頂を目指す話だったのに対して、本書は山小屋の主人という異なった視点で描かれていた。
今までの作品では、「登山を通した主人公たちの成長」に重点がおかれていたのだが、今回は「登山を通した人と人との触れ合い」が中心だったので、過去の作品とは違った意味で楽しめた。
物語は、山小屋を経営しながら直面する問題に対処していく流れになっており、6つの短編に分かれていて読みやすかった。どの話もきれいにまとまっていたのだが、逆にきれいにまとまりすぎていた気がするので、もう少し予想外の展開がほしかった。
最後も終わり方も続編を期待させるような感じだったので、次回作にも期待したい。