ウェスト夫人の温かい人柄と梨木さんの優しい眼差しがこの一冊に詰め込まれています。
他民族との風習の違いに悩み振り回されながらも彼らを受け入れ続ける下宿の大家さん、ウェスト夫人。最後に9.11が語られる際にも、その視点は決してぶれません。民族対立が先鋭化する時代に、その行動や発言はとても強い示唆を与えてくれるものだと思います。
そしてそんな夫人の周りにいる人たちの優しいこと!彼らも夫人とともに悩み、夫人のかわりに憤り、ともに手を携えて胸を張ったコミュニティとして暮らしていること!
読んでいるこちらまで、その一員に容れていただいたような、そうとまで言わなくても、隣のコミュニティからあこがれながら見ているような、あるいは下宿の一員にしていただいたような、そんなホンワカとした暖かさに包まれている一冊です。