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ヒロインのジョーンは愛する夫と子供に恵まれた裕福な中年の主婦。
新婚の末娘の看病に行っていたが帰る途中、雨季に出来た川のため立ち往生した。
時間だけがたっぷりある毎日に普段思いもしなかった色々な事に思いを巡らせるうちに、今まで満足し切っていた自分について疑惑にとらわれる。
この物語の恐ろしさは自分もそうではないかという疑惑と恐怖を読む側にももたらし 人間の、また自分の心の深奥を覗かせるというところだと思います。
最初は鼻持ちならないジョーンを次第に愚かな人と思いそして哀れになりながら、もしかして自分もそうでは?と度々??ってしまうのです。
愕然としたのは「人間として大切なものとは・・・」という概念がひっくり返ったことでした。それまで優しさとか誠実とか大いなるものを信じる気持ちとかありふれた事を漠然と考えていましたが・・・ああそううなんだ探していたものはこれだったのか・・・・と。初めて読んでから長い年月が経ちましたが現在でもそれが他のもろもろの事にとは区別してとても大切なことと思っています。(実行は難しいのですがふとした時に心に留めている自分を感じます)
訳者の中村妙子さんによると、クリスティは長い間このテーマを暖めており書き始めてからは一週間で書き上げ一語の訂正もせずに出版したとのことです。どんな深い絶望がクリスティを捕らえたのかはあずかり知らぬところとも・・・
なぜここまで深く書かれたのか私は知りたいと思いますが・・・
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