強烈な代表作を持つ作家が新作を発表すると、
販促コピーに必ず問題が発生する。
今作も典型的な失敗を犯した。
「葉桜」「最後5ページで・・・」。
書いてはいけない。書いてほしくなかった・・・。
安易なお化け屋敷のつもりか!
情報を開示し、身構えて読ませることで、今作の
読中感・読後感は半減、いや80%減してしまった。
「葉桜」で受けた衝撃というか、騙され感は確かに
素晴らしかったが、販促のために強要するイメージの
植え付けには辟易した。
作品そのものを素直に、何の事前情報をも持たずに
読みたかった。
内容はというと、絶望感・寂寥感、そしてこの、
本質的な救済になりえるのかといった終盤は唸らされる。
平田の境遇、小瀬木の独白には、こじつけ感も否めないのだが、
どちらに転んでもまっ暗闇の今作の世界、皮肉な献身、
人物像の描き方等、先入観がなければ及第点であるのは確実。
分析独白ではなく、他の手法で、平田自身がその可能性を
知りえるという結末であったなら、★5にもなりえただろう。
その瞬間の平田の反応こそが、この作品のクライマックス。
「容疑者X」にも通ずるやりきれない読後感が完成する。
ますみの、表面的な言動からでは予測不能な顛末も
深みのある背景がもっと欲しかったな。
出版社の方々、クソコピーのせいで、作品そのものの
評価を落としかねないことを肝に銘じて、今後は
出版してもらいたいことを切に願う。
帯を見るなといっても無理だし、作品そのものの
レベルは高いのだから・・。