映画は楽しみながら勉強できる素晴らしい媒体だ!ということで、政治や社会や歴史や思想や宗教に関する情報が巧みに織り込まれた優秀な映画(ほとんどハリウッド作品)を、その素晴らしさの急所を押さえつつ簡潔に紹介していく「功利的」な本である。『宇宙戦争』から日米両国に欠如した「戦時への想像力」を抽出し、『X-MEN』からは生命倫理の先端的な問いを受け取る、といった具合である。また、各作品のスタッフやキャストに関する基本情報もコンパクトにまとめられており、「同じ監督(俳優)の他のやつ」を探したいときに便利である。
例えば「M2」の相方である宮台真司氏が映画を観る「私(たち)」に訪れる体験の質にこだわるのに対して、宮崎哲弥氏はひたすら作品の性質を客観的に批評し、観客としての私(たち)の側の主観性をあまり強くは出さない(「TSUTAYA」の携帯サイトでの連載が元、という事情もあるのだろうが)。それゆえ読書上の「味わい」が希薄であり、一冊の本として通読しているとちょっと退屈してきてしまうのだが、あくまで個別作品のガイドとしては、とても役に立つだろうと思う。