この作品の最大の特徴はなんと言っても、初代監督の本郷氏がシリーズに復帰したことに尽きると思います。従って、作風も「ヘンダーランド」に通ずる
ダークファンタジーと近年のクレしん映画へのアンチテーゼとなっています。それを感じるのは、しんちゃんが徹底的に無力な5歳児に描かれていることに
尽きると思います。「大人帝国」以降のしんちゃん映画はしんちゃんの想いやお馬鹿パワーが奇跡を呼ぶことが多かったですが、この作品ではそれは全くありません。
そして、しんちゃんの力の源である、「かすかべ防衛隊」は敵の影響でしんちゃん対して無関心となり(これが一番の恐怖)、野原一家もラストの対決では
封じ込まれてしまいます。「ケツだけ星人」も相手にされなきゃ何の意味もない。それを風間君たちにやらせるところに、この映画の恐怖はあります。そして幼い頃、
一度は夢をみた「歪んだ町」を歩く場面や、ラストまで続く悪意あるストーリー展開は完全に本郷監督の近年のクレしんシリーズへの
挑戦状としか思えません。
反面、ここまでやっておきながら、ラスト付近の投げやり感が非常に残念で仕方がない気がします。脚本の煮詰めが足りなかったのか、尺が足りなかったのか
ラストの対決で無理に辻褄を合わせようとして、逆に失敗した感があります。それが、なければ、最近のクレしん映画の中では初期テイストを蘇らせた傑作になったと
思います。
最近のクレしん映画のあり方に一石を投じた作品であることに間違いはないです。一度、ご覧になってはいかがかと思います。