現在、「映画を見ること」は、「映画館に行くこと」
よりも、「家でDVD鑑賞すること」を指すほうが
多い時代になっている。
金銭的にも、映画館に行くより、DVDを借りる方が
ずっと安価ですむ。また、DVDで鑑賞する方が、
気になるシーンを何度も見直したりできる。
にもかかわらず、僕たちはよく映画館に行く。
高価だし、気になるシーンを見直すこともできない。
それでも僕たちは映画館に行きたくなり、事実行って
しまっている。それはなぜなのか?
この本は、映画を扱う本の中でも、とりわけ映画の
受容のされかたに焦点を当てることによって、上の疑問に
明快に答えてくれる。
それだけではなく、映画という媒体が、映画の作り手と
受け手の双方から影響されながら変身し続けてきたという
事実を分かりやすく例証している。
京都では、八千代館、東宝公楽、朝日会館などの往年の
映画館が姿を消したばかりであるが、そのような時期に
この本が現れたのは非常にタイムリーで意義深いと思われる。
個人的には、スクリューボールコメディと『ツイスター』の
関係について論じる部分の鋭さに圧倒された。