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映画の真実―スクリーンは何を映してきたか (中公新書)
 
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映画の真実―スクリーンは何を映してきたか (中公新書) [新書]

佐藤 忠男
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

たとえばアジア映画を見て、アジアの現実がわかるだろうか。映画に描かれた世界は美化されているのでわからないと批判するのは簡単だ。しかし、国、民族、社会、そこに暮らす人々が理想とする自画像だからこそ美化されるのであり、それに共感しながら見るのも楽しみ方の一つである。日本、アジア、ハリウッドなど世界の映画を縦横無尽に語りつつ、映像表現の新たな魅力を紹介する、作品論を超えた映画入門。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐藤 忠男
1930年(昭和5年)、新潟市に生まれる。1957年~62年、『映画評論』『思想の科学』などの編集に従事、以後、フリーで映画、教育、大衆文化などの評論を行う。現在、日本映画学校校長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 240ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2001/11)
  • ISBN-10: 4121016165
  • ISBN-13: 978-4121016164
  • 発売日: 2001/11
  • 商品の寸法: 17.4 x 11 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By fuki
形式:新書
佐藤忠男さんの文章はとても読みやすく、わかりやすく、映画のことについて多くの知識がなかったとしても、その伝えたいことがわかるように書かれていて、素晴らしいと思いました。

この本では、映画というものが、どう「現実」を捉えてきたか、ということについて語られています。

戦争映画、恋愛映画、アジア映画、ドキュメンタリーなどを具体的に例に上げながら、
その映画がどういう歴史的背景で作られたか、
製作者がどういう想いでそれを作ったか、などが丁寧に書かれています。

国際的な商品である「映画」というものを通して、日本人が映画にどう関わってきたか、
日本映画は世界の中でどういう位置にいるのかということも、
考えさせられる本だと思いました。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By くま
形式:新書
映画で現実が分かるだろうか。佐藤忠男はこの問いに古今東西の映画を遡上に乗せながら、誠実に答えている。現実は分からない、としながらも佐藤の態度は次のように肯定的である。「映画というものは本来、現実と美化の間を、大きくあるいは微妙に揺れ動いてきたもので、その矛盾があるからこそ映画には精神的な生産性や発展があるのだ」

例えばこんな作品について語っている。神山征二郎「群上一揆」現実の百姓の姿をこれまでに無く忠実に描いている。そしてそのためか「七人の侍」のような民衆の支持を得られなかった。また、任侠映画は実は江戸時代百姓町人が持っていた自由と自治の名残なのだ、となかなか面白い考察。「無法松の一生」は古くからある伝統的な恋の物語なのだというのは誤解で、「シェーン」などに見られる西洋騎士道の貴婦人崇拝理念の移し替えなのである。日中双方が認めあう日中戦争の映画は今までほとんど無かったが、「チンパオ」(中田新一監督)でやっとつくられたその意義。ドキュメンタリーであるが、意図しない演技が感動的な「ファザーレス/父なき時代」。「群上一揆」と「チンパオ」は有名ではないが、私が最近の傑作だと思っていた作品なので取り上げられていて特に嬉しかった。

最近東西の戦争映画を立て続けに見た。「地獄の黙示緑完全版」「キプールの記憶」「カンダハール」「ブラックホーク・ダウン」現実と寓意の間を揺れ動いたり、ヘタウマの長廻しで現実的な戦争の姿を装おってみたり、ドラマとドキュメントのあいのこみたいな作品をつくってみたり、近視眼的な現実を延々と写すことで返って現実が分からなくなる作品だったり、戦争映画は優れて「現実と美化の間を揺れ動く」作品なのだと思い知った次第です。

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形式:新書
「はじめに」に問題提起がある。「映画で現実が分かるのか」と(p.i)。
この疑問に著者は次のように答える、「・・・芸術作品で現実を知ることは難しい。美化されているからである。・・しかし、われわれは、その美化をつうじて、それを表現した人や社会や民族や国のあり方をみることができる」(p.ii)と。そして、おわりに」で、著者はこの本のねらいについて次のように語っている、「映画は人間と社会の背負っているどんな問題をどんあふうにして引き受け、どんな具合に解決しようとしているものなのであろうかということを、さまざまな角度から考えてみた」(p.232)本がこの書物であると。
とはいえ、なかなかまとめをしにくい。「羅生門」は自尊心がテーマでそれぞれの登場人物が語る「ウソ」の背景にこの自尊心ががある、「郡上一揆」とからめて西欧の民主主義と日本のそれとはもともとこたなったものだった、木下恵介の「二十四の瞳」は厭戦映画の名作であるが、子どもたちが兵隊となって赴いた中国の戦場で何をしたきたかは全く描かれていない、その部分を木下は「戦場の固き約束」で描こうとしたが実現しなかった、映画「ファザーレス・父なき時代」は日本映画学校の卒業生の制作で、ドキュメンタリーでありながら、真実の力が漲っている、日本の武士道は敗戦によって否定されたが黒澤の「生きる」には形をかえてこの精神がいきていて、こういうものが伝統というものである、等々。
しいていえば「映像」が映し出す社会と時代の素顔、またそれらへの影響を分析しながら映画と言うものの魅力をあらたに引き出した批評が、この著のバックボーンである。
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