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映画が目にしみる (文春文庫)
 
 

映画が目にしみる (文春文庫) [文庫]

小林 信彦
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

世紀をまたいで書き続けた名物連載から映画コラム171本を厳選!黒澤明「天国と地獄」からイーストウッド「硫黄島からの手紙」、原節子、阪東妻三郎から綾瀬はるか、香川照之まで―新旧作品を超えて縦横無尽に書きつくす小林信彦の“決定版”映画コラム集。700本超の詳細な作品名インデックス付き。DVD情報も満載。

内容(「MARC」データベースより)

『中日新聞』連載の映画コラムを100本紹介。邦画と洋画、黒沢明の「天国と地獄」やイーストウッドの「父親たちの星条旗」など新旧関係なく、ときには舞台やドラマ、本の話も交えながら解説。DVD情報も満載。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 537ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 増補完全版 (2010/11/10)
  • ISBN-10: 4167256266
  • ISBN-13: 978-4167256265
  • 発売日: 2010/11/10
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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By hide-bon トップ100レビュアー
形式:文庫
小林信彦の映画コラムは面白い、なんて事は今更言うまでもない事かも知れない。
そのマニアックな知識量とピリッと利いた辛口批評は、今や名人芸と呼べるのではないか。
その最新のコラムを集めたのが本書。自分が小林のコラムに初めて接したのが高校生の頃だから、もう35年近くも前の事になる。
この間、折に触れ、何らかの媒体で楽しませて頂いた。それだけでも凄い事だと思う。
読みやすい、趣味人である、蘊蓄が聴ける、目の付けどころが鋭い、言うべき処では苦言を呈す。
しかも、彼は作家であり、いわゆる映画評論家ではない。小西康陽や和田誠らと並び、良い意味で業界人ではないのだ。
本書の中でも、例えば、映画は作られた時代のムードが分からないと理解出来ないとか、アメリカは戦争をしていないとやっていけない国だとか、映画が好きな人間はジャンルによって観る映画館が決まっていたとか、共感出来る言説が多い。
かっての小林の言葉で、忘れられない名言がある。
ひとつは、映画好きは、ミステリー小説やjazz、落語も好きであり、それはつまり無駄ごと好きであると指摘した事だ。
もうひとつは、“人は幸福な時、映画を観るだろうか?”と言う事。
これには補足が必要だろう。今日では、映画館に行く行為と言うのは、美術館に行く様な文化的感覚であったり、デートの一環としての意味合いもあるが、自分が学生当時は、昼間の明るい時間から、映画を観ていた者などネクラの代表と思われていた。
自分は何をすべきか、誠実に映画に向き合う事が、世間から滑稽に思われて、乖離していく。
拘りや鬱屈を抱きながら、映画館の暗闇の中でスクリーンに対峙していた者のひとりとして、その言葉に、ハッと胸が衝かれたものである。
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形式:文庫
最後の映画評とは鬼気迫る。
シビアな映画観、しかし、映画への愛情、深い知識、
その映画の本質を過不足ない文章で表現する。
優れているにもかかわらず日の当たらない映画を取り上げる。
特定の俳優、女優への偏愛。映画少年、映画ファン、優れた映画批評家がかつて
すべて備えていた資質を小林先生はいまだ持ち続けています。
これは希有なことで、いまや日本では小林先生だけでしょう。
小林先生にこれからも映画評を書いていただきたいのです。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By bias トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
刊行後、直ちに購読。まさに、枕頭の書。
その後この1年で、記憶しているだけでも4回は繰り返し読んでいる。
固有名詞的には(作品名の索引があるので)、もっと読んでいるはず。

「中日新聞」連載、99年1月から07年2月まで、という同時代性が
まず、いい。1回あたり原稿用紙4枚分という分量も、手頃。
自負をもって言うように、著者は「作家」であって「映画評論家」ではない。
ゆえに、映画館へ自ら足を運んだのか(ほとんどこちら)、それとも
試写室で観たか、明言しているのが信頼できる。つまり“チョウチン”がない。

古典、ミュージカル、サスペンス、メロドラマ、アニメとジャンルも多彩で、
食わず嫌いな自分など、本書を先達にして再演やDVDでようやく観て、
著者の慧眼を再認識し、敬服する、といったことも一再ではない。
お気に入りがイーストウッドであることも、最大の共感要件の一つ。

男性としては、「映画は女優で観る」と公言しているのも、心強い。
頂点をきわめたニコール・キッドマンへの熱情ぶりも微笑ましく、
美人のわりに今一つスターになれなかったアシュレイ・ジャッドの出演作を、
これほど丁寧に褒めている著名な物書きの方は、他にいないだろう。
一方、徐々に衰勢に向かうメグ・ライアンや、着実にステップアップを
遂げたナタリー・ポートマンなど、通読すると、同時代だけに克明に伝わる。

あと、新聞連載だったから著名な映画人の訃報関係の文章も、絶品。
三木のり平の「明と暗」、相米慎二の「長回し」など、相貌と特色に
フォーカスした文章は、まさに、この著者ならでの視点と切れ味。
ビリー・ワイルダーや、グレゴリー・ペックなども、登場した背景や
前後の世代との比較を、短い分量の中に過不足なく折り込みながら、
まことに読み応えのある、かつ、読み心地の良い追悼文になっている。

連載以前に物故した映画人との直談も、自慢話ではない。
来日したヒッチコックと話したなんて逸話も、「ホラー映画」という言葉が
いつから使われたかという文脈(巨匠から直接「ハラア」と聴いている)で
出てくる必然のスゴミであり、中平康の作品を京橋で観た感想を記したあと、
その「長い黄色い顔」と、晩年一度だけ会ったと締めくくる余韻。

溝口、小津、黒澤、吉村、木下、成瀬など、巨匠についても、
若い世代の受容・賛否の仕方への牽制も含め、鋭利な評価がつまっている。
まことに貴重で愉しく、多彩で示唆に富むコラム集。
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