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心の中にぱあっと広がって弾ける話。
空から花びらが舞い落ちてきて、静かに降り積もる話。
癒しと再生の魔法が話の中に封じ込められている、そんな気がしました。
「星夜の章」 on a starry night
「月夜の章」 on a moonlight night
「夢夜の章」 on a fantasy night
3つの章に、全部で32の話が収められています。
幻想的な話、ホラーチックな話、メルヘン、童話、ファンタジー風の話など、色とりどりのガラスの玉が入った玉手箱みたいな作品集。なかでも、「三枚のお札異聞」とか、「絵姿女房その後」とか、「かぐや姫の憂い」とか、「真説耳なし芳一」とか、昔話を別の角度から眺めて描いて見せてくれた話が面白かったです。
鯰江光二(なまずえ こうじ)さんの挿絵の数々も、とっても綺麗。パステルカラーの優しい色合いに、立ち止まって見とれてしまうこともしばしば。光原さんの話のバックで透明な旋律を奏でているオーケストラのような絵の風合いを感じました。
『時計を忘れて森へいこう』で出会い、『遠い約束』『十八の夏』に心惹かれた光原百合さんの最新刊『星月夜(ほしづきよ)の夢がたり』。魔法の鈴の音が、りんりんりんと鳴っているみたいな掌篇集でした。
ラブストーリー、民話風のもの、ちょっとホラーかミステリめいたもの、ほっとするような明るい話、切なくて胸痛むもの、みぞおちのあたりが少しスースーする感じの話、色々あって、飽きず読めました。まさに光原ワールドというか、光原マジックというか・・・いろんな手法で紡ぎだされた作品は、掌編であるだけに、いっそう輝きを増すように思えました。
こんなに、読み終わるのがもったいないと思える本は、私にとって久しぶりでした。光原さんの世界を満喫しました。
鯰江光二氏の挿絵が、とてもとても美しく、かわいいのだけれど甘すぎず、好ましかったです。オビに“宝石箱のような絵本”とあります。挿絵もお話も楽しめる本です。読み終わるのがもったいなかったです。
掌編ばかりなので、どこからでも読めますが、私は先のページを絶対めくらないようにして読みました。でも、気になる挿絵を見つけて、そこから・・・という読み方もできますよ。
ほんの短い話ですが、どれも心に素直に届きます。ラブ・ストーリーはこんな枚数でよくまとまって、余韻を残して書けるなあ・・・と、感心してしまいました。民話の後日譚や異聞譚もひとひねりが効いていておもしろかったです。
私事ながら、ベスト3。「春ガ キタ」「目覚めの時」「遙か彼方、星の生まれるところ」
光原さんの作品が持つ優しさもちゃんとあったし、どうにもならない心の動きの描写も冴えていて、本当に光原ワールドを満喫させてもらいました。
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