番外編の奥津(玉山鉄二)を語りべにし、うまく再構成している。川島海荷を始めとする原作外もしくはあまり触れられなかったキャストもストーリー上無理なく絡め、映画としての体裁(集客用の花添え)を保っている。
原作の雰囲気もよく再現してると思う。
しかし非常に残念なのは、主人公であるおじさんの「何にもなくなったけど、おまえが隣にいてヘンにしあわせだぞ」のセリフを削ったこと。
これがこの物語の核となるテーマでしょう。
そして途中でペンションのオーナー(三浦友和)に犬を譲ろうとするくだり、これは絶対にない。相棒がいてこそのドライブで、自分一人きりの死を覚悟で旅をしているのでは、根本から話が変わってしまう。
さらに死に際、原作では穏やかに死を受け入れてるんだけど、これがけっこう取り乱している。「相棒(犬)がいるから、孤独死ではない」というニュアンスを無視している。
これらの原作改変によって、最後の奥津の「愛する相手がいてしあわせだった」のセリフが、単なる生者から死者への押し付けになってしまっている。
家庭崩壊、孤独死の悲惨さ、けなげな忠犬でお涙頂戴に仕立てたいのはわかるが、肝心の「相棒としての犬」をハズしてしまったのは、制作陣が原作をよく理解してなかったのではないかと疑ってしまう。残念。