かなりの数の童話・ファンタジーを読んできましたが、この「イルスの竪琴」は素晴らしい作品のひとつです。最初はちょっと、とっつきにくいと思うかもしれませんが、自然描写、人間の感情の描写などのいずれもよく、大自然のなかに潜む、人間を寄せ付けないような原初のエネルギーの猛々しさなどが、劇的な迫力をもって迫ってきます。
最初はどちらかというと内向きの印象がありますが、三巻まで完読すれば、すべては壮大なエンディングのための伏線だったのかと思い知らされます。初めて読みきったときには、深い思いとともに、どこまでも広がるような開放感がありました。
やっとこないだ完結した人気作品のように、ただ娯楽作品というだけではなく、自分や物事をもっと深く探求したいという人には、ぜひ読んでいただきたいです。