2篇収録。おすすめです。ちょっと甘めかもしれないが星5つ。
特に修道院の出来が良かったから。
「星に降る雪」
雪の神岡にある、ニュートリノ望遠鏡を有する地下天文台で働く田村は、かつて雪山で友・新庄を失った。
6人のパーティは雪崩の遭い、新庄のみ命を失った。
同行していたが生き残った新庄の彼女・亜矢子(恋人というには期間が……)が田村を訪ねてくるところから物語は始まる。
生と死のはざまを垣間見てしまった二人は、それぞれ微妙に異なるが抱えた心の闇を解放できずにいる。
それは見てしまったものにしかわからない、禁忌に触れたものにしか理解できない領域の「闇」かもしれない。
田村のココロが解放されるのはいつのことか? 我々の魂も物語と一緒に旅をする……。
「修道院」
オフをクレタ島で過ごす「私」が出遭った修道院。
土地の老女が語る50年前の物語。
罪を背負った男の贖罪の日々に、そもそものきっかけとなった美しい女が村に現れ更なる悲劇を生む。
ミステリアスなストーリイ展開と、グイグイと物語に惹きこんでいく池澤の文章が素晴らしい。
寝食を忘れて一気に読ませるだけの力が宿っている。さすが芥川賞作家!
物語の雰囲気は、浦沢直樹の「マスターキートン」や「パイナップル・アーミー」に出てくるエピソードのような感じがある。
登場人物たちの造形がしっかりしており、それぞれの心の闇は深い。
久しぶりに内容の充実した作品を読むことができた喜びに満足!!