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星に降る雪/修道院
 
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星に降る雪/修道院 [単行本]

池澤 夏樹
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

――これを見るために、おれの眼はある。

死と生、愛と憎悪の葛藤のなか、生き延びるために遺された者が自ら選んだ超越体験。
この世ならぬものを心に想った二人の男が、二つの星をめざした短篇集。

「星に降る雪」
岐阜。かつて雪山で起こったあの事件。記憶を封印するかのように、田村は、山奥の観測所にこもり働いている。ある日、亡くなった親友の恋人が訪れ、二人は山に登る。あの時、何があったのか。記憶は、白い闇だ―― 初出「考える人」2006年春・夏号

「修道院」
クレタ。ふらりと島に現れ、村に住みついた石工。彼は、修道院の修復をしながら、寡黙で質素な生活を送るが、ふとした折に告白する。自分は魂に重い荷を背負っている、と。その夏の日曜の午後、馬車に乗った都会の女が村に現れ―― 初出「野性時代」2007年1月号~4月号、6月号、8月号

内容(「BOOK」データベースより)

男は雪山に暮らし、地下の天文台から星を見ている。死んだ親友の恋人は訊ねる、あなたは何を待っているの?岐阜、クレタ。二つの土地、「向こう側」に憑かれた二人の男。生と死のはざま、超越体験を巡る二つの物語。

登録情報

  • 単行本: 232ページ
  • 出版社: 角川書店 (2008/03)
  • ISBN-10: 4048738380
  • ISBN-13: 978-4048738385
  • 発売日: 2008/03
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 431,634位 (本のベストセラーを見る)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
帰ってきた 2008/5/7
形式:単行本
池澤夏樹の初期の作品、「スティルライフ」が一番好き。透明感、浮遊感など。しかし、その後、エッセイや評論が増えてきて、なんだか、初期の感じがなくなってきたと思っていた。
今回の作品で、また、「スティルライフ」の頃の雰囲気が見られて、嬉しかった。空気感が全く同じ、というわけではないのは、この人が成熟していったからだろうと思う。だから、初期の作品のファンには、お勧め。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By たお
形式:単行本
2篇収録。おすすめです。ちょっと甘めかもしれないが星5つ。
特に修道院の出来が良かったから。

「星に降る雪」
雪の神岡にある、ニュートリノ望遠鏡を有する地下天文台で働く田村は、かつて雪山で友・新庄を失った。
6人のパーティは雪崩の遭い、新庄のみ命を失った。
同行していたが生き残った新庄の彼女・亜矢子(恋人というには期間が……)が田村を訪ねてくるところから物語は始まる。

生と死のはざまを垣間見てしまった二人は、それぞれ微妙に異なるが抱えた心の闇を解放できずにいる。
それは見てしまったものにしかわからない、禁忌に触れたものにしか理解できない領域の「闇」かもしれない。
田村のココロが解放されるのはいつのことか? 我々の魂も物語と一緒に旅をする……。

「修道院」
オフをクレタ島で過ごす「私」が出遭った修道院。
土地の老女が語る50年前の物語。
罪を背負った男の贖罪の日々に、そもそものきっかけとなった美しい女が村に現れ更なる悲劇を生む。
ミステリアスなストーリイ展開と、グイグイと物語に惹きこんでいく池澤の文章が素晴らしい。
寝食を忘れて一気に読ませるだけの力が宿っている。さすが芥川賞作家!

物語の雰囲気は、浦沢直樹の「マスターキートン」や「パイナップル・アーミー」に出てくるエピソードのような感じがある。
登場人物たちの造形がしっかりしており、それぞれの心の闇は深い。
久しぶりに内容の充実した作品を読むことができた喜びに満足!!
このレビューは参考になりましたか?
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
神の領域 2011/9/26
形式:単行本
光より早い素粒子、ニュートリノが出てくる「星に降る雪」。
静かで美しい物語。
冥界に思いを馳せる主人公。
ただ、女を登場させなければいけなかったのか、そしてそういう関係を結ぶべきだったのか。
主人公が「閉じた」人間だから、そうさせることで有り体に物語を語らせるようにしたのか?
最後までどことなく腑に落ちなかった。
対照的で主人公とコントラストをなす人生観だったのだけれど、作者の女性の描き方のゆるさにちょっと首をひねるところ。
整った日本語の言葉遣いとかそういうところは抜きにしても、情緒とか思慮が浅いというか…。
どことなく短絡的に見えてしまう。いやいやそうじゃないのでは?
これがハードボイルドやマッチョなサスペンスなら仕方ないかなーと思うのですが、繊細な池澤作品で、そこが共感できなかった所でしょうか。
「マリコ・マリキータ」「花を運ぶ妹」のたくましく輝く女性像が印象に残っているので。強いようで流される、弱い女って、実は結構難しい…。
しかし、その一点を除いては、素晴らしい小説でした。

「修道院」南フランスの古い修道院をひとりぼっちでめぐった記憶が蘇った作品。
あの不思議な感覚はなんとも言えないもの。
南ヨーロッパの人々の温かさが、生き生きと蘇ってきました。
反面、悲劇ではあるけどプロテスタント的な宗教観が見えて、興味深いです。
職業における人間の使命感を支えているのは、実は罪悪感なのかもしれない。
背景に描かれるのは、ありえない悲劇。
しかし、誰もがもっている子供の頃に刻みつけた罪の意識、エスカレートする欲への抑えきれない衝動、そしてその末に待つ疑い、怒り、怨恨。
いわゆる人間の向上心や勤勉さの裏にある、形にならない黒い業が鮮やかに描かれています。

「君のためのバラ」と一緒に読みました。
村上春樹よりも世界的にもっと注目されていいのに。
そこもちょっと悔しいかなあ。
どうやったらこんな人智を超えた、古くて新しい物語を描けるんでしょうか。
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