「めぐりあう時間たち」は、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」がベースになっていましたが、今回は、ウォルト・ホイットマンの詩集「草の葉」が元になっています。
「めぐりあう時間たち」と同様3つの話からなっていますが、今回はそれぞれ別の小説の形をとっています。
しかし、サイモンと女性と少年という登場人物の構成、古い鉢など共通のものを持っています。
もちろん、ホイットマンの詩が全編に織り込まれているのは、総て同じです。
ところが、小説のスタイルは全く違います。
「機械の中」は幻想小説的ですし、「少年十字軍」は推理小説的でもあります。そして最後の「美しさのように」はSF小説です。
時代は、この順番に進んで行き、場所もニューヨークで前の物語の事件に言及されたりしています。
話の骨子で共通しているのは、ホイットマンの詩がそうなのかも知れませんが、自然への回帰であり、文明の発達からの脱却です。
人間の愚かな行いの先にあるものは何であるのか?
作者は、そこに悲観的なものだけでなく、希望も描いているように思います。