決め手を欠く大群との戦闘に勝利すべく更なる困難な調査に赴くテラナーの活躍を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第265巻。本巻の執筆者は、フレッシュな新鋭の競演ヴルチェクとフランシスです。女性が主導権を握り男を種の存続に不可欠なだけの存在として奴隷扱いする植民惑星ダイアナにも痴呆化放射の攻撃が容赦なく襲い掛かる。第一の書アマゾンの各章の冒頭に引用された女将軍ヴァニラ・ダッチの論文は特異な世界の理解を助け、優れた文明論としても興味深い内容です。
『アマゾン最期の日』エルンスト・ヴルチェク著:アマゾン惑星ダイアナでは、優生主義者・ネオゴリスト・エゴイストの三派に分かれて戦争状態になっており大群の侵略は混乱に拍車を掛ける。お馴染み復讐者サンダルと骨男タホンカ=ノのコンビが今回も活躍します。本編では男女の役割分担が逆転し主従関係ではありますが悲劇的な愛に心が揺さぶられます。『星々の洪水』H.G.フランシス著:惑星ダイアナを呑みこんだ大群のやわらかなバリアは、手応えがなく人類の攻撃を寄せつけない。ローダンは敵の更なる調査の為に惑星ヌルモ2に特別コマンドを派遣し、謎の石板が予言する異人の正体解明に着手する。アトラン大提督を隊長とするコマンド部隊は第五列と名乗るグッキー他のオールスター選抜軍で、惑星住人の超心理能力を持つカルタス種族‘断崖’との対決が圧巻の読み所です。
グッキーの減らず口は健在で、骨男の骨がきしむような足音に「蝶番に油をくれてやった方がいいぜ」と突っ込むのが面白いです。本書の翻訳者、五十嵐洋氏のあとがきはローダン・ファンクラブの人達と横浜の中華街での食事会に参加され二次会でもすっかりくつろがれた盛会の報告をされています。本書では異種族とテラナーの間に結ばれる友情が感動的で、特にグッキーに対して‘断崖’が笑いの感情を持つくだりが最高でした。