『易』の翻訳には、岩波文庫の本書と、『朝日古典選』の本田済氏のものとがよく利用されている。いずれも文庫本ということで、利用や値段に手頃だからであろう。
本書、岩波文庫のものは、高田氏と後藤氏の翻訳であり、両者ともに漢学者として著名である。本書には優れた翻訳部分が多々存在する。しかし翻訳内容には疑問の個所もまま存在する。『易』は難読であるから、明白に誤訳であると断定できるわけではないが、それでも誤訳とまで言わずとも、不適切な翻訳と思われる部分がまま見受けられるのである。
『易』は難しい。そのため読者としては、本書一つで満足することなく、地道にいくつかの翻訳書を探して原文の幅広い理解を目ざしたいところである。