昏睡状態の人を見舞う時、どのような心持で向かえばよいのか…。
話しかけても届いているものか。そんな局面に立たされることは決して他人事ではありません。
かつて、重度のくも膜下出血で倒れた経験がある著者が、「意識のない世界」を綴った本です。
この本のすごいところは、記憶を頼りに書かれただけでなく、
当時のカルテを開示してもらい、主治医、看護師らの寄稿や、家族の日記を時系列で掲載しているところです。患者、家族、医療、介護の多角的な視点からのドキュメントになっているのです。
当事者しか知りえない(分かり合えない)ことが、互いが補完する形で、綺麗事だけでない実相を浮かび上がらせています。
しかも、重くなりがちなテーマにもかかわらず、一気に読ませる、ユーモアのセンスさえも感じられるのは、筆者の人柄でしょうか。難しい医学書でも、怪しい宗教書やオカルトでもない、等身大の良書です。きっと、多くの人が勇気付けられるとおもいます。