本書はユング派の天才的セラピスト、アーノルド・ミンデルが創始したプロセス指向心理学の、きわめて画期的な成果についての書物である。本書の中でミンデルは、昏睡状態にある患者を前にして、ごく微細なフィードバックに対する丁寧な「気づき」を用いることでコミュニケーションを実現する方法を紹介している。もちろん昏睡状態といってもさまざまな状態があるが、ある種類の昏睡状態の患者に対して、単なる精神論などではなく、具体例に基づく実践的なアプローチを示しているほとんど唯一の本ではないだろうか。時に昏睡から覚醒するなど、めざましい成果が得られているが、その本質は患者本人のプロセスに寄り添うという、きわめて無理のない方向性であることも特筆に値する。彼の奥さんでもあるAmy Mindellによる、より具体的な実践書"Coma"の翻訳も期待したい。