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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
幕末維新期の柔構造,
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レビュー対象商品: 明治維新 1858-1881 (講談社現代新書) (新書)
本書は明治維新期における、社会変容を導いたメカニズムを「柔構造」と名付け、その「柔構造」を国際比較と歴史比較の視点から分析したものである。第一部では、明治維新期の日本における、「国家目標」、グループ間の「合従連合」、「指導者」自身の夫々の可変性と柔軟性について述べられる。 明治維新期の指導者たちは、幕末期には「富国強兵」と「公儀輿論」、維新期には「富国」「強兵」「憲法」「議会」という、複数の国家目標を追求した。それぞれのリーダ間の目標の優先順位の変更やリーダー同士の合従連合、目指す目標数や内容の変更は状況に応じて行われ、なおかつ、その結果、大きな遺恨を残すことは無かった。この政治的「柔構造」は東アジアの開発独裁の「硬構造」に比べてはるかに強靭だったとする。 第二部では、幕末期の改革諸藩(薩、長、土、肥、越前)夫々の「柔構造」について検討されている。中でも薩摩藩の「柔構造」は殆ど完璧であったが、その事が西南戦争を惹き起す要因となった事が述べられる。 第三部では、幕末維新期に柔構造を生みだした諸要因について分析されている。徳川幕府の正統性の喪失により、政治競争が許容されるようになり、それは民間ナショナリズムという精神基盤と、対外危機の中で政治の遠心力と社会の求心力のバランスが保たれ続けたという事が述べられる。 国際比較の視点から明治維新を分析するというのは、とても有意義な事だと思う。文章も平易で読みやすい良書だった。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
政治史家と開発経済の実践者のコラボレーション,
By navi (tokyo) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 明治維新 1858-1881 (講談社現代新書) (新書)
最近、近代の政治史で意欲的に著作を発表している坂野氏は、大野氏という新しい「学友」を得て、明治維新の構造を幾つか のキーワードを元に整理してみせた。 「富国強兵」「内治優先」「公議輿論」「海外雄飛」の4つの キーワードは、『未完の明治維新』の時の分析枠組みを踏襲 しているが、大野氏の協力を得て、より構造的な分析が行われて いる。 「柔構造」という仮説は面白いが、異を唱えれば、薩長を中心と する権力闘争の歴史という仮説も成り立つのではないかという ことである。 大久保利通は、盟友の西郷を切り捨てたし、佐賀藩(江藤新平) も切り捨てた。大久保亡き後は、伊藤博文も大隈重信を切り捨て、 その後、山県有朋と主導権争いをするといった具合だ。 偉そうなことを書いたが、二人の息遣いが聞こえてくるような 刺激に満ちた一冊である。一読をすすめたい。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「柔らかさ」がうんだ、稀有な革命,
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レビュー対象商品: 明治維新 1858-1881 (講談社現代新書) (新書)
幕末〜明治維新期は、日本史上最も人気のある時期だろうが、百数十年前のことながら実態のわかりにくさも群を抜いている。坂本龍馬のようなビジョンを持った人物が中心にいて、その周辺にフォロワーがいて、彼らが旧体制を打破するという、 極度に単純化され流通したストーリーに慣れた人には、明治維新の構造をすんなり理解するのは至難の業である。 実際には、尊王、攘夷、開国、富国、強兵、議会、立憲等、複数の矛盾した目的が入れ替わり登場し、 各テーマで各指導者が目的ごとに連携しながら、新しい国家を作り上げた。(前著『未完の明治維新』を読むとさらによく理解できる)。 特定の指導者、集団が明確なビジョンのもと旧体制を打破し、改革・開発を進めた戦後の東アジア諸国とは大きく異なることを示し、 一見すると節操のない明治維新のプロセスを「柔構造」というキーワードから読み解くのが本書である。 確かに柔らかい。昨日の敵とは今日手をつなぎ、今日の方針は明日には変わる。 ただ愛国心という基盤のもと、国内を内戦状態に陥らせないという最後の一線だけは共有されていた。 注目したのは薩摩藩士の筆まめさを示す手紙の量から、薩摩藩士を中心につくられる情報共有・意見交換の柔らかいネットワークを検証する章。 膨大な数の手紙が江戸・京都・薩摩で飛び交い、そこでなされる自由闊達な議論は、電話もない時代に短期間で近代国家建設を成し遂げる彼らの知的柔軟さを示す。 最終章で示されるように、明治維新を成し遂げる雄藩のリーダー達と、彼らの知的ネットワークを育んだのは、江戸の幕藩体制が支えた経済、安全保障の安定であった。 革命でありながら断絶ではなく、江戸が育てた人材が明治をつくった。ちなみに坂本龍馬は本書に僅かしか登場しない。 「人生の最終局面」と坂野先生は言われているが、今後も日本近代に新しい視座を提供してほしい。
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