幕末、艦船や兵器などを日本に供給したのがグラバーだが、そのグラバーの生涯について著した一冊。グラバーといえば長崎のグラバー園だが、長崎港を見下ろす西洋館はオペラ「マダムバタフライ」のモデルにもなったところ。
明治維新において西南雄藩が力をつけたのは銃器を潤沢に輸入できる環境にあったからだが、やはり長崎と上海が近いというのが一番の理由である。その長崎で武器を売りさばいていたのがグラバーです。明治になってグラバー自身は破産し、彼の息子は大東亜戦争終結後にピストル自殺をしています。日本の国家建設に貢献しながら、グラバー一族はかわいそうな末路をたどっています。
幕末日本に大量の西洋銃が流れ込んできましたが、なんと、アメリカの南北戦争の終結によって余った銃器が上海に近い長崎に流れ込んでいたことには驚きでした。幕末、太平洋の対岸の事件が日本に影響を及ぼしていたことは、サブプライム問題など、現代日本の金融市場に影響が及んでも不思議ではありません。「死の商人」同様、欧米の人間には「カネ」の匂いに敏感なのでしょう。
世界の経済至上主義が極東日本に及んでいますが、今も昔も、欧米に振り回されていることには変わりありません。