著者のエセル・ハワードはドイツ皇帝・ウィルヘルム2世の子供達の家庭教師も務め、その後島津家の招聘により日本に渡った女性です。「家庭教師」と題されてはいますが、実際には江戸時代同然の島津家家政の大改革まで行い、その役割+苦労は多大な物だったことがこの本からも伺えます。
回想録のため、話が時系列順ではなく、あちこちに飛ぶので理解にやや苦労しますが、それを補って余りある日本に対する洞察力や理解度に舌を巻きます。また、日露戦争の直後に島津家の子弟を率いて朝鮮・中国に渡っていますが、この旅行記録も貴重な物だと思います。
外人が書いた日本の記録には往々にして見下げるような横柄な態度がかいま見えることがあるのですが、この本にはそういう物が無く、著者の人格の程が伺えます。外人に近づく日本人の胡散臭さに苦言を呈したと思えば、同胞の日本におけるひどい態度を赤裸々に暴露して批判しています。
島津家に使えたという立場柄、維新元勲の人柄などが伺えるエピソードなどもいろいろと書かれていますが、これも興味深い内容です。
大名華族やそれを取り巻く(寄生する?)人たちの生活事情や明治時代の同時代記録として、興味をお持ちの方々に是非一読を勧めたい本です。