著者は川崎市市民ミュージアムの学芸員で、妖怪の研究者。妖怪の展覧会を手がけ、関連の著作も多い。
本書は、明治初期の日本の新聞各紙から、妖怪にまつわる記事を集めたもの。馬をひとのみにした怪物、漢字を読む鳥、蛙を生んだ女、大食いの幽霊、迷惑な山の神、村を守った海坊主など、100篇以上が収められている。
原文がそのまま収録されており、挿絵のあるものは、それも取られている。
創作ではなく、現実の事件として報道されているわけだが、書いている記者が信じていないのが伝わってきたり、明らかにだまされていたりも楽しい。
突拍子もない話ばかりで非常に興味深い。妖怪とか幽霊というだけでなく、突拍子もなく、説明の付かない不思議な事件が並べられている点に魅力があった。とはいえ、あの世からの伝言、狸や狐に化かされた話は昔ながらの定型で書かれており、妖怪のイメージや語り口が伝統に支配されていることがわかって面白い。一方で、外国の事件の報道もあったり、明治初期という特異な時代が透けて見える。
当時の文章を読み慣れていない人には、ちょっと辛いかも知れない。