本書は文庫形式であるが、学術書であり、多少難しい。ふり仮名も用語の解説も少なめで、一般向けの新書を主に読む人向けではなく、ある程度専門知識がある人向けである。
巻末によれば、本書は1994年に刊行された『大正政変』を加筆修正、改題したものである。なので、『大正政変』を読んだ方は改めて買わなくてもいいかもしれない。
副題の「1900年体制」とは著者の代表作である『明治憲法体制の確立』に出てくる明治憲法体制のことである。簡単にいうと、伊藤博文が政友会(衆議院)を、山縣有朋が官僚閥(内務官僚、陸軍、貴族院)をそれぞれおさえ、分掌することによって安定した体制のことである。
『明治憲法体制の確立』を未読の方はそちらを先に読むことをお勧めする。
本書は1906年から1915年までを対象としている。当該期は、これまで政友会を中心に見る視点や、民衆運動を中心にみる視点から研究されてきた。
本書は、政友会と民衆運動指導部に、軍部を加えた三者の予算におけるせめぎ合いを見ることによって、統一的にとらえることに成功している。
近代政治史に興味があるならば、お勧めである。