洋館立てに対して我々は、エキゾチックで瀟洒な建物として憧れとも懐かしみともいう気持ちをもつ。単なるビルとは違って、西洋文化の風格の様式化されたものとして、品位・風格も感じる。本書では、洋館の醍醐味を味わうことができる企画になっている。
まずは、日本各地に誕生した洋館には、日本の伝統の「粋」が内在することを指摘する。洋館の中の「和」である。和風の庭園に似合う西洋館を造るところがあった。内部も洋風と和風のユニークな組み合わせ、調和を考えている。
また、出会いの舞台としての階段に工夫をこらした。優雅にフロアにつなぐ階段は、洋館のアクセントであった。客が来るのを、主人が階段を降りて迎えに出る、その舞台になるのである。折れ曲がった階段が様々な見せ場をつくる。
また、優れた左官の「技」を味わうことができる。漆喰で施された洋館の装飾は、世界最高の腕を誇る左官たちの仕事であった。鏝さばきが命の匠の世界である。
文明開化とともに建てられた華麗で、優美な建物。洋館。その美を鑑賞するツボを本書は教えてくれる。