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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「式のないものをどうやって予測するか」の示唆に満ちた本,
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レビュー対象商品: 明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性 (単行本)
シミュレーションは第三の科学(理論科学、実験科学と対比して)といわれます。なぜシミュレーションをするかというと、「何時間後にはこうなる」という計算式がないからです。 計算式がないものを何とかして計算しよう、という無茶な目的を果たすために シミュレーションは登場しました。 ……投資だろうが試合だろうが、厳密な「勝利の方程式」がどこかにあるはずだ、という信念をお持ちの方にはお勧めしません。 自分の実験誤差が大きいのを棚に上げて 「天気予報はなんでこう当たらないんだ」と考えている理系の方々にはお勧めします。 著者(と訳者)の文には理系らしい平明さと、本業の天気予報から始まる 「本質的にわからないものをそこそこ確からしく推測する技術」に対する情熱が見て取れます。 また、シミュレーションが本業だからこそ、「シミュレーション結果を過信するな」という メッセージにも満ちています。 某漫画の台詞そっくりですが、「不可能を何とかするのが技術屋」(可能にするとは言わない)なのです。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
モデルは未来を知らない,
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レビュー対象商品: 明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性 (単行本)
「決定論に従う機械論的なシステムとは違い、私たちには選択肢がある。運命は自分で決めることができる。私たちは初期条件や遺伝子や効率的市場の奴隷ではない。私たちは予測不可能で、それは悪くないことだ」。著者は気象の専門家。いろいろなモデルに基づく予測がどうして当たらないのか、そこにはどのような本質的な問題があるのかについて述べた本である。「過去」「現在」「未来」の3部構成。ぶ厚い本だが、後ろは付録や参考文献のリストが並んでおり、本編は見た目ほどの量ではない。 前半の科学史の解説では、ピタゴラスやケプラーやニュートンが登場。数学や物理の様々な法則の発見によって、計算でいろいろな予測が可能になった経緯を振り返る。 続いて、現代における天気、病気、経済に対しての予測の試みについて解説が行われている。19世紀までの科学の発達の方向性から多くの人が信じていた決定論的アプローチが、次々壁にぶち当たる様子とその理由についての分析が行われている。 最後に、それまでの説明を総括しながら科学的な予測の限界と、それでも残るモデルの有効性及びその意義について言及している。特に、地球温暖化のモデルが不正確であることを言い訳にしようとする一部で見られる風潮に対しての著者の反論は力が入っている。「嵐を予言することはできなくても、嵐の乗り切り方なら予言できる」。 結論としては、第一に、方程式は計算不可能なシステムには存在しない。第二に、モデルにはパラメータ化に伴う誤差が存在する上にモデル自体の不確かさについても正確にわからないという問題がある、ということになる。しかし一方で、モデルは予測に用いるには不十分なものではあるけれども、システムの構造や理解や危うさを発見する為には大いに役に立つ。 ところどころユーモアを忍ばせてあるし、面白いエピソードも入っている。科学的な知見に基づき視野を広げてくれる。良い本です。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
本書を通じて、科学をめぐる世界観が変わったような気がする。,
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レビュー対象商品: 明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性 (単行本)
本書は、天候、医療、経済の3分野についての人類が予知に挑んできた歴史を著した力作である。著者の、数学、物理学、生物学、経済学等々各分野への造詣の深さと視野の広さには圧倒される。 問題は、ニュートンによって確立された物理学の体系やダーウィンの進化論があまりにも美しかったため、科学が重要な世界観となってしまい、決定論的科学主義が生物学や経済学、政治学に応用されていったことにあるという。 すなわち、物理学が既に相対性理論や量子力学などで決定論的アプローチを捨て去ったにもかかわらず、生物化学や社会科学はいまだにこのアプローチに固執して、現実を描ききれていないという。 確かに、科学がこれだけ進歩しても、天気予報はよく外れるし、株の暴落は誰も予想できない。地球温暖化に関する学説は、本書の最終章にあるとおり悲観的なものから楽観的なものまでさまざまである。 本書の結論は、われわれは確信を持って未来を予測することはできないが、少なくとも嵐や地震への対処の仕方を築き上げるための助けにはなってきたというものである。 本書を通じて、科学をめぐる世界観が変わったような気がする。
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