13分しか記憶が保てない逆行性健忘症(18歳以降の記憶がほぼない)の男と、彼を見守るハウスキーパーの物語。
設定を聞いただけでその難しさとせつなさ加減はいかばかりか、と大いに期待。結果、読み応え十分で大満足!でした。
一日のうちに何度も自分の境遇を認識し、混乱と不安に襲われる櫂は勿論、彼を取り巻く人々の歯がゆさや辛さを思うと……。成長した妹だと解らずに会話する場面では泣きました。
けれど、全体的にはすごく暖かい話に仕上がっているので、痛くはないかな。いろいろ抱えていて、見せていない部分もあるだろうけど、ツダも何だかんだ言ってイイ性格だし。性描写は濃い目だけど。
櫂のあやふやで脆い視点で展開されるため状況を把握するのが難しい箇所があったり、櫂が知りたいと思わないことは描かれないので謎も多いです。それがちょっと不親切かとも思いましたが(だからてっきりツダ視点の話も収録されているだろうと思った)、星5つ以外はつけられませんでした。
あとがきもひねりがあって面白いし、安芸まくら、個人的に注目作家となりました。