スター誕生の初代グランドチャンピオンに選ばれた森昌子。
この本によれば、実は彼女は「スター誕生」には全く興味が無かったという。
叔母が「まーちゃんの好きなお洋服買ってあげる」と言われたのでデパートについて行き、洋服を買ってもらい大喜びした直後、そのデパートのホールに連れて行かれた。そこは何と「スター誕生」のオーディション会場。
そう、森昌子は叔母に騙されて「スター誕生」に出る事になってしまったのである。そこで合格したものの面接で「私は出る気なんてなかったんです」不合格になればいいと思ってこう答えた。しかし昌子は決戦大会まで進んでしまう。
決戦大会に出場した人達はみんな必死。だけどその気のない昌子は一人、漫画を読んでいた。結果はグランドチャンピオン。そしてスカウトマンからもプラカードが上がってしまう。欽ちゃんから「おめでとう、よかったねー」 森昌子も訳が分からず「ありがとうございます、嬉しいです!」と答えてしまい、涙がドー・・・。
まるで喜劇である。
まったくやる気の無かった森昌子だが、その影響は巨大な社会現象になり、世の中を動かしていく。阿久悠から「歌は幼稚」と評された桜田淳子はギンギラギンになってスター誕生に応募ハガキを何枚も出しまくり、山口百恵は「私にもできるかも」と思って応募する。
世の中で起こっている事は逆説に満ちている。人生にも支離滅裂な出来事が次々と起こる。
高校を卒業したら歌手を辞め、大学に進み体育の先生になろうと思っていたこと。森進一さんとの出会い、結婚、楽しかった夫婦生活、しかし離婚、そして子供たちのこと・・・この本で森昌子はその真実を語っている。
真実だけが持つ面白さ。本人だけが語れる真実の面白さ。そんな面白さにこの本は満ちている。
しかし、その面白さに多くの人は気づいていないようだ。
もったいない。もっと多くの人にこの本を読んでもらいたい。