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5つ星のうち 5.0
ひたむきな姿が、心を打つ, 2008/6/20
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誰だって自分の命は惜しい。もし誰かに罪をなすり付ける事で自分の命が助かるなら、悪魔に魂を売ってでも、自分だけは何とか生き延びようとするのが人の常。彼には、あわよくば助かろうなどという気は一切ない。責任はすべて自分にあるという立場を貫く。
岡田中将が捕虜の米兵を死刑執行をしたことが、はたして不当なのか否かが論争の焦点となっていくわけですが、岡田中将と弁護士は、論点を巧妙にずらしていき、無差別爆撃=不法行為をおこなっていた米軍機に搭乗していた乗組員は、犯罪者と同等であり、捕虜としては遇することをせず、あくまで大量殺戮の犯罪者として処罰したのであって、それは不当にはあたらない、という論理を展開していくわけです。
まあ、詭弁という感じもしないわけではありませんが、「あれ?ひょっとしたら、無罪になっちゃうかも?」なんて思わせる映画の撮り方がされていて、なかなか楽しめました。
3台のカメラのよるマルチカム撮影は、確かに黒澤映画を彷彿とさせます。でも、ギラついた全盛期の黒澤とは違い、緊張感みなぎるものではありますが、静かに落ち着いています。偉人を描いても、その超人性ではなく、気高い精神にこそにじり寄る感じですね。
そして、この映画には米国に対する恨みがましさも、規律正しい旧日本軍人への過剰な郷愁もありません。むしろ、裁判で公正な弁護をおこなった弁護士フェザーストンや、岡田中将の助命嘆願をしたとされる検察側、裁判官らの姿を人情味ある人物として描いています。つまり、古きよき日本人の姿とともに、アメリカの良い部分をも公正に描いています。そのあたりにも感動させられます。
46 人中、38人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
久々に、日本映画の底力を見た気がします, 2008/5/14
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太平洋戦争の末期、日本全国が空襲を受けました。
名古屋も大空襲を受けたのですが、
日本も対空砲火で何機かのB29を撃墜、
当時の米国パイロットがパラシュートで助かりましたが、
当時の日本軍が彼らを処刑してしまったことが、「処罰」なのか「復讐」なのか「報復」なのか?
無差別攻撃が立証されるのか?
東海軍司令官の岡田中将のB級戦犯としての公判を中心に描かれています。
「私は貝になりたい」が評判になっていますが、
あれは、ある戦犯の方の手記を橋本忍さんが脚色されたもので、
こちらは、事実に基づいてますので違った別の重みがありました。
3月8日〜9日にかけての東京大空襲を境に、終戦を急いだ米国はそれまでの軍事施設への爆撃から無差別爆撃に切替ます。
その後に始まった東京や各地の大空襲は
焼夷弾を中心とした日本の家屋を焼き尽くし戦意を喪失させる方向へ向かいます。
法廷では、軍事施設でもない孤児院や商店街が焼夷弾で焼かれたこと、
列車に対して航空機から機関掃射が行われた証言が次々に..。
当時、米国のルーズベルト大統領はドイツのポーランドへの無差別爆撃を非難し世界へ声明を出しましたが、
その何年か後には声明を発した国が無差別爆撃以上の都市を一瞬で破壊する残酷な指令も
出しています。
それは、双方にこれ以上の犠牲者を出さないためだとする一方的な大義名分の解釈で..。
作品の80%以上が法廷シーンです。
主演の藤田まことさんの最後まで部下を守り抜き司令官として一人責任を負う迫真の演技は見事でした。
検事として出演していたフレッドマックィーンはお父さんのスティーブマックィーンを思い出させました。
特典映像も充実しています。
岡田中将のご子息(長男)のインタビューやメイキングからも
当時の状況、撮影の裏側が伝わってきます。
そして、処刑には中将が直接に命令も立ち会ってもいなかった事実も分かります。
当時、責任を回避しようと部下に責任を押しつける幹部が多かった中で、
岡田中将の男の責任の全うの仕方、日本最後の武士道を貫かれた様子が特典映像から伺えます。
20 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
今の時代だからこそ心に響く、気高き日本軍司令官の「遺言」, 2008/5/13
レビュー対象商品: 明日への遺言 特別版 [DVD] (DVD)
無差別爆撃機から脱出した米国人を処刑し、B級戦犯として裁かれるも、連合国側の無差別爆撃の非をもって、それらアメリカ人は保護されるべき捕虜ではないと主張して「法戦」を堂々と戦い、一切の責任は司令官たる自分にあると主張して戦後日本を担う若い部下達をかばい続け、弁護人はもちろん検事、そして裁判長(何れも米国人)の心も動かしていく、岡田資中将。丁度新書「昭和の名将と愚将」を読み終え、名将と呼ばれた人でも昭和の軍人は大した人は少なかったのだな、という感想を持った時にこの映画を観て、こんなに誇り高く、責任をきちんととった将、いや日本人がいたのか、という驚きを禁じえなかった。その岡田中将役の藤田まことは畢生の名演と言ってよいだろう。品格が話題になる今の日本でこそ、岡田中将が法廷と収容所での潔い振舞いで示した「明日への遺言」を日本人はしっかり受けとめるべきだ。その裁判を傍聴し続け、隔てられた夫と心を通わせ続ける富司純子の演技も光るし、監督がオーディションで選んだ米国人俳優の演技もよい。そして狭い法廷という空間的な制約にもかかわらず、迫真の裁判劇をカメラに収めた撮影の素晴らしさ。小泉監督の映像感覚のシャープさに唸らされる。映画の冒頭でニュース・フィルムを使って非戦闘員を巻き込む無差別爆撃の簡単な世界史を説明し、時代背景を述べつつ反戦のメッセージを込める構成も巧みだ。そして、映画で2度使われる、日本人の心の琴線に触れる歌「ふるさと」。私は感動に打ち震えました。ずばり、名画です。