私は編集者でも漫画家でもないフツウの人間。みなっち先生の「友子の場合」の単行本1巻を読んで以来の大大大ファンにすぎない者。
いろんな段階の漫画家志望のキャラが登場する。主人公は、漫画の投稿をはじめたばかりの少女「くるみ田小鳩」。
一歩先に進んだライバルと、何回も投稿している少年。
さらに、プロの大御所漫画家2人も登場し、このバトルも熱い。
「花御殿まゆら」というスゴイペンネームの13歳でデビューした天才漫画家。しかも、漫画から抜け出てきたヒロインのように可愛い。
そして、もうひとり。定型どおりの少女漫画から思いっきり抜きん出、本当に少女の求めている漫画を模索し、編集者と歩みよりながら完成させていく。
登場する編集者たちも個性的だ。いったい、どこの編集部をモデルにしているのか気になってしまったが、野暮な詮索はやめることにした。
大御所漫画家さんの職場って、たまにインタビューで紹介されるけれど、ほとんど謎といっていい。この漫画で描かれている「裏舞台」はフィクションだとわかっていても、大御所漫画家は只者ではなく、「モンスター」であることには変わりない。
我々のために、素晴らしい漫画を生み出して下さっているかたがたに感謝できる一冊でもある。
ギャグとシリアスのバランスも絶妙。表紙だけ見ると、ギャグかと思ってしまったが。
「その場所で心から楽しまなければあなたの血と骨にならない」
こんないい言葉も出てきて、ハードボイルドな面もある。編集に携わっていなくても、誰にでも教訓になる。
どんな職業人も、学生であっても、年がいくつでも、もちろん漫画家でも、まだ漫画家になっていなくても、編集者でも、編集者志望でも、楽しめる。
教訓あり、笑いあり、涙あり、熱血あり、恋もあり、ハッピーエンドもありで、本当に素晴らしい1冊です。
はたして、小鳩はプロ漫画家になれるのか?応援しながら読んだ。気になる方は、買って読んでみよう。
わき道のささいな二コマのセリフも味わいがある。
「甘えてるんですよ!
生きるのにせいいっぱいの時代なら家に
引きこもってなんていられませんよ
飢餓に苦しむ国があるというのに悠長なもんですよ」
と、ありきたりのコメントをテレビで偉い人が言うシーンがある。
それに対して、何回も投稿に挑戦してこれからの生き方を考えている少年は、
「…………オレの言うことって
やっぱ
ありきたりなんじゃん!
やだな 安井(彼に漫画の助言した人)にとって
こいつとおれは
いっしょなのかよ……」
とつぶやく。
こんな二コマすらも、多くの読者を味方につけていることは、みなっち先生も計算外だろう。
漫画の中のセリフにもあるが、「血がかよっている」キャラばかりで、中身の濃い単行本です。