この作者さんはお気に入りで、結構著作を読ませていただいております。内容的にはシリアスで重めの作品が多いように思いますが、本作はそれらの作品とは毛色が違っておりました。
長編というよりは中編程度の長さで、おそらく1時間ちょっともあれば読了出来ると思います。物語自体はとりたてて新味のあるものではなく、帯にもありますが仕掛けられたトリックを味わうための小説ではないかと思います。この点に関しては当然ここで詳細に触れるわけにいきませんが、「煽りすぎではないかしら?」というのが正直な感想。残念ながら多くの方は、このトリックに満足できなければ、この小説自体に満足できないということになってしまうのではないでしょうか。
キャラクターの設定とか話の運びに無理があるようにも感じられましたし、高い満足度は得られませんでした。著者の真骨頂はやはり社会の内包する問題を鋭く描く長編にあるような気がしますので、次回作に期待させていただきます。