仕事上の興味があって手に取った。
テレビ業界とインターネット業界の熾烈な覇権争いが始まっている。日本では「放送と通信の融合」などと比較的のんびり構えている風があるが、アメリカでは数年前から大変なことになっているらしい。
本書は、アメリカにおけるネットvsテレビ業界の現状を著者自身の体験を交えながら概観したもので、とくに細部がリアルなのが面白い。たとえば、アメリカのキー局のテレビ欄は朝とゴールデンタイムしかなくて非常にシンプルとか、夏休み中はテレビ局も夏休みで延々と再放送を流しているとか、「テレビ」というメディア、文化に対する日米の違いが伝わってきて興味深い。
テレビ受像機はながらくテレビ局専用の端末だった。しかしこれからは違う。テレビにテレビ番組ではないものがたくさん流れる時代になる。逆に、テレビ番組もテレビではなくケータイ電話やゲーム機やタブレットPCで見るようになる。日本はアメリカに3年、遅れているというが、著者のいう「50年に一度の大変革期」に突入しているのは日本ももう間違いない。文化的インフラとしてのメディアとコンテンツ、そして技術的インフラとしてのワイヤレス通信とモバイル端末。「テレビ」を取り巻くとても大きなものがいま、急速に変わりつつあると感じた。