60年代の中ごろから終りにかけて、アメリカに新しい傾向の映画作家たちが出現し、それまでの巨大資本のもとで制作されたものとは一線を画す作品群が発表された。いわゆる「アメリカンニューシネマ」である。ところが今になって冷静になって観ると「アメリカンニューシネマ」はフランスの「ヌーベルバーグ」の焼き直しではないか、という気がしてきた。たとえば「俺たちに明日はない」はゴダールの「勝手にしやがれ」をハデハデにしたような感じでもあるし、本作はトリュフォーの「突然炎のごとく」の換骨奪胎と言えなくもない。
どこが似ているかというと、まず主演三人が男二人と女一人で構成され、この三人は明るい三角関係にある、ストップモーション等を交えた映像表現がユニーク、自転車を使った演出がとっても印象的、音楽の使い方が画期的、ラストは両方とも悲惨なものだが演出が巧みで観ている分にはそう感じさせない、さらには原題も良く似ている(「ジュールとジム」と「ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド」)。ちなみに日本語タイトルは両作品とも、オリジナルをはるかに上回る良いデキですね。そして最後にとっておきのエピソード。キッド役のキャスティングが難航して、キッド役にニューマン、ブッチ役になんとマーロン・ブランドを、という案もあったそうです!それが実現したらどんな映画になっていたんだろ。想像してみるのも楽しいではありませんか?
本DVDはオリジナル音声か吹き替えを選択可(もちろん字幕も)。さらにニューマン、レッドフォード、ロスの主演三人(みなさんお年をめされました)と脚本家のゴールドマン及び作曲家のバカラックの94年当時のインタビュー、キャメラマンのホールによる各シーン毎の詳細な解説、さらにメイキング映像がついていて、いたれり尽くせり。それでこの値段は安すぎる。