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明かしえぬ共同体 (ちくま学芸文庫)
 
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明かしえぬ共同体 (ちくま学芸文庫) (文庫)

モーリス ブランショ (著), Maurice Blanchot (原著), 西谷 修 (翻訳)
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   1930年代に右翼のジャーナリストであったブランショは、自分の過去を封印して文学に転じて以来、みずからの政治体験については沈黙を守ってきた。ところが83年になって、ジャン=リュック・ナンシーによる画期的なバタイユ論『無為の共同体』が発表されると、それに触発されたかのように、突然に「政治的」ともいえる本書を発表した。

   ジョルジュ・バタイユはブランショの友人であり、30年代にシュールレアリストや極左のグループ、秘密結社のうちに共同体の幻影を求めては挫折をくり返した。結局、バタイユは孤独な内的体験に恍惚(こうこつ)を見いだしたが、ブランショによれば、それがすなわち共同体を断念したことにはならない。バタイユはファシズムや共産主義といった、国家や民族という単位に収束してしまう偽りの共同体をあきらめただけで、共同体の不在はバタイユに苦悩にみちた夜のコミュニケーションである「書くこと」を要請し、別次元での共同性の開示をせまった。それが、孤独を生きることを前提とする文学空間だったのだという。

   併録されている「恋人たちの共同体」は、マルグリット・デュラスの愛の作品『死の病い』を論じたものだ。ここでブランショは、ふたりの男女が触れあうたびに埋めようのない差異をきわ立たせ、絶対的な他者でしかないと思い知らされるような地平に「共同体をもたない人びとの共同体」の可能性をみようとしている。(渡辺和久)



内容(「BOOK」データベースより)

共産主義を鼓舞しながら、その裏切りや挫折のうちに潰えていったものは何だったのか?今世紀を貫く政治的文学的体験における「共同体」をめぐる思考を根底から問い直し、「共に存在する」ことの裸形の相に肉薄する。それはいっさいの社会的関係の外でこそ生きられる出来事であり、そこで分かち合われるのは逆説的にも複数の生の「絶対的分離」である。ハイデガーの「共存在」を換骨奪胎し、バタイユの共同体の試みやデュラスの愛の作品、そして「六八年五月」の意味を問いながら、「共同体の企て」やその政治化の厄々しい倒錯を照らし出し、「共同体」を開放系へと転じる20世紀のオルフェウス、ブランショの思想的遺言ともいうべき書。

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5つ星のうち 3.0 ブランショ、バタイユ、西谷修の共著。, 2002/1/7
By 金子書店 - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
 晩年のブランショが、ジャン=リュック・ナンシー「無為の共同体」に触発されて重たい筆をとった小著。その背景にはナンシーの本で分析の対象となっている、盟友バタイユの共同体論に注釈をつけるという目的もあったらしい。

 ブランショは右翼の政治ジャーナリストとして出発し、文学に転向した後はほとんど政治的な発言をしてこなかった。そのブランショの貴重な政治的傾向の強い書なのだが、もちろんブランショのことだから簡単に「政治的」と片づけるわけにはいかないが。

 また、本書はバタイユの共同体論とデュラスの小説論の二編から構成されているが、テクストの実に半分近くを西谷修による訳注、あとがき、付録が占めている。そういう意味では、この翻訳書は西谷とブランショの共著といった趣が深い。

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18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 バタイユの権力論は今なお新鮮さを失わない, 2003/8/4
すでに常識となっている専門家には邪魔かもしれませんが、初心者にとっては西谷修の解説は読んで得るものが大きくありました。ブランショはフーコーについて『大いなる封じ込め』という論文を書いている頭の切れる人、と言うことは知っておりましたが、本書を通じて、ブランショが曾て極右のジャーナリズムに立って左翼のヘーゲル的止揚に基づく国家の全体主義を批判していたということを知りました。そして同時期にバタイユは極左の秘密結社「コントル・アタック」で資本主義社会の特にナチズムに見られる全体主義を鋭く糾弾していました。この正反対の活動を行っていたふたりが実は親友同志であり、ともに同じ課題、つまり共同体と権力について、思いを繞らしていたことは興味深い事実です。そしてバタイユが秘密結社「アセファル」で実現し得なかった「権力なき共同体」の探求という課題は、現在まで手つかずのまま放り出されています。だれかが、これをやらねばなりませんね。
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11 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 現在に残された共同体の可能性とは, 2005/10/27
少しまえに試みられた具体的な共同体を求めた運動は
いろいろな形で潰えていった今日、
我々にはどういった共同体が残されているかということを
バタイユを紐解きつつ語る。
「共同体をもたない人々の共同体、否定的共同体」
というバタイユの概念をブランショが提示する。
そこには人間にはどんな可能性が残されているかということを
純粋にたどる試みがあり、ブランショの言葉はひとつひとつ
誠実に書かれている印象を受けた。
後半の西谷修の解説もわかりやすく、また全体像をうまく
とらえている。
ブランショを読むのはこれがはじめてなのだが、
ブランショを知るための重要な一冊であり、
なおかつ手軽に購入できるにもかかわらず
得るものも多い一冊であり、お薦めだと思う。
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投稿日: 2006/12/24 投稿者: 文字読み

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